●福田さんとBACH
チェンバロ演奏家の福田直樹さんが突然、昨日午後に来店された。
室蘭と長沼の福祉施設へ、演奏会のため雪の北海道へ。
まほろばでは、昨年8月に、
名古屋のオーガニックワインの児玉さんの紹介で音楽会を開催した。
その時、初めて
「純正律」と「ピタゴラス音律」と「十二音階」の違いを、目の前で披瀝してくださった。
あの斎藤秀雄門下の桐朋英才教育での絶対音感実験教室の一期生。
だからご自分で自在に、調律される。
同じバッハのインヴェンションでも、このように響きが違うものか。
十二音は濁る。純正律は澄む。
現在の十二音階は妥協の産物でしかないという。
だから、就学前の幼児には、
ピアノ音やTVなどのデジタル音を聞かせないで欲しいという。
出来れば、声による歌で耳を作って欲しいと訴える。
それによって、美しいものを選り分ける力が、自然に備わるという。
ヨーロッパの音楽家は、讃美歌を合唱することで基礎を形成して行った。
あのシューベルトの歌曲の天性の美しさは、
彼が少年合唱隊で調性の和声で、耳を研ぎ澄ませたからだという。
そして、さらに、
最近、何処も彼処も、モーツアルトばやりの狂想曲で、むしろ危険だと指摘する。
自分は、トータルのバランスを育てることが大切だと考える。
それはバッハに極まると。
バッハを演奏するのは、あくまでも手段に過ぎず、
バッハから何を聞くかが問題だ。
その芸術から、人生の目盛を見つけるためで、
誰でもがバッハの人生の全体像や宇宙観に感性が触発されて、
自己の人生に反映されればよい。
「宮下さんが、エリクサーを作ったのも、それも芸術表現で、
広い感性が生み出したものだ」とおっしゃる。
元々、バッハは大好きで、聞く一方だが、
確かに宇宙的構造や均整の美しさや安定感は、
理知と情意のバランスを教えられる。
何か、東洋で言えば、孔子の言動や
易経を音楽にしたような絶対観が存在する。
そして、皆が、その気付きに出会うために、
福田さんは、何処でも赴いて演奏をされる。
自閉症を治せる曲は、すべての疾患を治せるとまで言われている。
そのためには、二声のインヴェンションや
平均律クラヴィア曲集などが、最適という。
確かに、それは一句一句が珠玉の言葉が、紡がれている聖書のように、
無駄のない精錬された曲は、天国の音楽のようだ。
最後に、オーデイオの話になった。
福田さんは、正しい音と美しい音とは違う、という。
正しい音を再現しても、心に美しい音と聞こえるとは限らない、と。
そして、容量パワーがあっても、微弱に制御された音が、感動を呼ぶという。
内容が豊富にあっても、すべて全力で出さず、
抑制した音、微かな音を響かせる。
ここに、含みがあって、言外の音を喚起させるのだろう。
老子の「・・・・大方無隅,大器晩成,大音稀声,大象無形,・・・・・・」の
「大きな音は微かな声だ・・・」という件(くだり)を思い出した。
芭蕉の「かるみ」も荘重な漢語を駆使した後の
「わび・さび」を越えた境地であった。
腹に多くを蔵するも、
語る口は少なくし、歌う声は小さいほどよし。
内容が無いから、
私は毎日語り過ぎている。
福田直樹さんHP:http://www.pianist.jp/fukuda/
各地での演奏会開催をご希望の方は上記にお気軽にご連絡下さい。
コメント
本当ですね〜。
基礎を養うのにバッハは最適ですね。
それに最近のモーツアルト狂騒、私も同感です。
検証も不十分なのに、それに便乗した商品が多すぎます。
モーツアルトにはバッハのような人為的な臭いをあまり感じませんね。
天才故に、ある意味、つらく悲しかったことと思います。
いずれにしても音楽には豊かな可能性がありますよね。
すべてはハーモニー。
一音の中にすら膨大な情報があるように思います。
それに聴けない音楽は、その人にとってのブロックですしね。
まほろばで福田さんのコンサートを聴いてみたいな〜。
社長、がんばって実現してください!
ただし予定がありますのでアップはお早めにお願いします^^。
そうでないと又、音香さんに叱られます^^;。
Posted by: 夢野遊人 | 2007年01月26日 14:32
夏にコンサート予定です。追ってお知らせ申し上げます。2月18日(日)1時から、ギターコンサートがございます。参加費:1000円、ハート音楽院出演です。詳しくは、2月案内で。お待ち申し上げております。
Posted by: まほろば企画室 | 2007年01月26日 16:39
宮下さん、すてきな音楽家と出会いましたね。12音律については、私も一年位前に、なぜ12音律があるのかなと考えていました。今、福田さんのコメントを聞いていて、12は妥協の産物なんだというところの解釈は、これでなければわれわれの宇宙は作れなかったんだ、という風に聞こえてきます。つまり、妥協の産物というところに、神聖な宇宙の揺らぎを感ずるということでしょうか。12と1オクターブの7の倍数である14との関係が見え隠れしますね。12と14を加えると26という数になります。これは2で割って13になりますね。13はダヴィンチの最後の晩餐に表れる数です。私はこのダヴィンチの絵を見るたびに、この絵はキリストがはりつけにかかる前の日の晩餐会のようにかかれてはいますが、レオナルドはまさにわれわれの宇宙の最後の晩餐をメッセージとして語っているのではないかと思えました。13は不完全な数としてあります。あるいは12と14をつなぐ役割としてある数でしょうか。ちなみに、26という数はヘブライでは神を意味します。不思議なことにこの26という数が日本の4畳半台目の茶室の空間に現れているということは驚き以外の何ものでもありません。日本の建築家の中でもこのことを知っている建築家は数えるほどしかいないでしょう。ピラミッドもそうですけど、建築という分野はまさにアインシュタインの研究のテーマである宇宙そのものの構造を解き明かしているといってもいいのではないでしょうか。教会の聖歌隊のボックスも正方形が二つで構成されていますね。これは宇宙の神をまさに讃えるという基本的な構造です。アーメン。出来れば、その音律を聞いてみたのでもしCDがあったら送っていただけませんか?
Posted by: 首藤尚丈 | 2007年01月27日 00:31
首籐さんへ
釈迦に説法となりますが、素敵な見解ですね。
13。
昔から意味ありげな数として扱われていますね。
関係ないことですが、私の誕生日は10月13日です。
テンプル騎士団と関連のある曜日です。
昔からずっとこの数字が気になっていました。
もっと煎じ詰めれば3なのでしょうか。
次回のセミナー、楽しみにしています。
次元の低いコメントをいたしまして申し訳ありません。
Posted by: 夢野遊人 | 2007年01月27日 01:02
首藤さんは生ける「アカシックレコード」「宇宙図書館」ですね。実に愉快ですね。
これも奇遇で、昨年米沢へある人を尋ねに行きました。同じ建築家で数学者。黄金比に纏わる定理を発見されたということで、そのために訪問したのです。聖なる二等辺三角形を導き出すその公式で、エリクサートライアングルの秘密も解けるかと思いまして。何とその堤さんを紹介してくださったのが、福田さんなんですよ。不思議ですね。一度首藤さんと堤さんを引き合わせたいと思っていました。家も黄金比で設計されたそうです。山形と宮城は隣同志ですから、是非機会あればお尋ね下さい。福田さんから首藤さんに連絡行くように手配しますね。数秘と音律、宇宙法則を垣間見るようです。首藤さんの春の数字講座と1000%UPセミナー、みな楽しみにしてます。
Posted by: Anonymous | 2007年01月27日 11:00
さすが斉藤先生のお弟子さんは違いますね。そして何事も徹底してらっしゃるのですね。
こんな話を聞くともう一度二声のインベンションを弾いて見たくなりました。
演奏聴いて見たかったなあ。
Posted by: 千枝子 | 2007年01月27日 16:41