まほろばblog

（まほろば農園：カムット小麦）

最近の歴史研究で、古代エジプトが,
血腥いというより、意外と平安であったことが分かって来た。
あのピラミッド建造は奴隷によると教えられて来たが、
実は、農閑期や凶作時の農民の働き場を与えた政策で、
当時の王の徳性が偲ばれる。

エジプトといえば、
ビールやパンなど、発酵醸造食品の
発祥の地でもある。

その紀元前3000年の古代小麦の種が、
エジプト古代遺跡から発見され、
それを30年に亘って育てたイタリア・ピアーノ村の
「ジーノ・ジロロモーニ」さん。

自ら有機栽培の農協を設立し、
スローフードの顔として活躍。

古代小麦も、古代米のように、
背丈が高く、機械にかけられず、
しかも、収量が半分、脱穀も手作業だ。

しかし、この非効率、非合理こそ
現代農業へのアンチテーゼ、
満身創痍で、現代文明の非を訴える。

そして、その名前に、
発見した考古学者の
幼くして亡くされた娘の名を冠した。
『グラツｲエﾂラ・ラ』
そして、この『ラ』の意こそ、
太陽を示し、恵みを象徴するものだった。

（『グラツｲエﾂラ・ラ』は、500ｇ￥598）

古代小麦といえば、「カムット小麦」がある。
デュラム小麦の原種で、これも6000年の歴史がある。
4，5年前、その原種をまほろば農園で、
撒いて育てたことがあった。
国内でも、あまり育てているという噂は聞かない。
確かに、出来てみると背丈は高く、
その風格ある威容に
何ともいえない歓喜が込み上げて来た。

ところが、後で分かったことだが、
それは商品を特許化して、
勝手に栽培出来ない代物だった。

時に、東京のビックサイトで開かれた
ナチュラルオーガニックのEXPOでエリクサーを出展した際、
まほろばでは、その穂と写真を飾っていた。
しかし、その時、何とそのカムットの特許の主ボブ・クｲン氏が来場されていたのだ。

これは、「大変なことになったな・・・」と、
アメリカのことだから、知れたら大変な賠償問題に発展するかも・・・・・
と危惧したが、「ここはもう行くしかないなあ・・・」
と観念した。

会って正直に告白すると、
「なに、なに・・・・」と、
まほろばのブースまでやって来て、
小麦の穂を手に取って、ニヤリ。
「ああ、これは、日本では作れない証拠になる。
ありがとう、よくやってくれた。」と、
怒るどころか、何やら喜んで、互いに友好ムード。
どうやら、カムットもエジプト原産で、
湿気を一番嫌い、日本の高温多湿で、無農薬では
病気が出て、製品にはならないという。
確かに、縁が黒ずんでいた。

とんだカムット騒動だったが、
古代の原種を甦らせるという行為は
とてもロマンとスリルに満ちたものだ。

（草原の風が手稲山連峰に吹き抜けて、カムットは気持ち良さそう）

宮崎の椎葉村は平家の落人が隠れ住んだ山奥の寒村。
その椎葉クニ子さんから送ってもらった
在来種「平家大根」の種などは、育てて
その逞しい生命力に息を呑むほどだった。

古代の記憶をそのまま宿す種は、
生きて、その時代の息吹に触れる。

まるで、地下深くに封印されたパンドラの箱を開くかのようだ。

まほろばの地下洞「無限心庵」。
次々に起こる不思議とドラマの展開に、
本当に封印を開いたのかもしれない。

いよいよ、その謎がこれから、解き明かされる・・・・・・・・・・・・・