●Julian Bream ジュリアン・ブリーム
個人的な趣味の領域で、掲載は如何なものかな、
と、思ったものの、その貴重な動画を知り、
是非見て戴きたい、と思った。
そこには、古き良きヨーロッパ文化の
格調と芳香が感じられたのだ。
もう十一年前にもなろうか。
イギリスのギタリスト、ジュリアン・ブリームの演奏会が、
札幌のキタラで開かれるというので、
私は、すぐさまチケットを買い、その日を待った。
しかし、である。
とうとうその日は、訪れなかった。
彼は、病気のため突如、来日が中止になったのだ。
おそらく、遂に聴く事は出来ないだろう、と諦めた。
交通事故の後遺症と高齢は、彼の技術を阻んでしまったのか。
(若き日のブリーム:Heiter Villa-Lobos - Choros Típico, No. 1)
昨日、何気なく開いたyoutubeに、彼が突然飛び込んで来たのだ。
それも、若き日の彼が
颯爽として、
溌溂として。
(サロードのアリ・アクバルカーンと競演)
それと、若き頃より大好きだったインドの古典楽器サロード、
その達人アリ・アクバル・カーンと
何と、競演しているではないか。
この貴重映像には、嬉しくも驚いた。
この心のときめき!!
http://www.youtube.com/watch?v=vuoBpNz6fD8&feature=relatedEmbedding disabled by request
(ストラビンスキーの前でリュートを弾く歴史的貴重映像)
さらに、ど肝を抜いたのは、彼のストラビンスキーとの対話、
そして、その前でリュートを奏している。
何と言う至福。
ストラビンスキーは、武満の「弦楽のためのレクイエム」を日本で聞いて
「あの小さい男から、このような厳しい音楽が生まれるとは」と絶賛してから、
俄かに、国内外から評価されるようになったのだ。
その武満はブリームの委嘱で、「すべては薄明のなかで」を作曲した。
(リュートで、ビバルディーを弾く)
ギターと共に、彼は、リュートの名手でもあった。
チェンバロと奏でる古雅な響きに酔いしれる。
(ジャズを弾く)
古典の対岸にある前衛も積極的に弾き、
ギターの領域を拡げ、世間への認知に心砕いた。
完璧な技術に裏打ちされたジャズの響きに、
また心が翻弄されそうだ。
素晴らしい!!