●日本最古の漆と模様編の発見から
異常な暖春と先日の強風で、さくらが散り始めている。
G・Wは北海道では花見シーズンなのに、一週間を待たず、
先に、さくらは潔く己の命を終わろうとしている。
「さくらの木」を、アイヌ語で「カリンバ」という。
10年ほど前、私の生まれ故郷・恵庭で、
日本最古の膠(うるし)塗りが副葬品とともに出土した、
というニュースに、道内は騒然となった。
以来、そこをカリンバ遺跡と言うようになった。
幼い頃から、近くの漁川(いざりがわ)などは遊び場だった。
その名の謂れの通り、その水辺には鮭の大群が登って来て、
手で簡単に捕まえられた、とお祖父さんは語っていた。
そこ一帯は、アイヌの集落が点在していたのだ。
小学生の頃、今は温泉「ラ・フォーレ」の社長をしている水高君に教えられて、
一緒に今の発掘現場で、石器や矢じりなどを見つけて遊んだものだった。
北海道の至る所が、発掘現場になるほど遺跡は多い。
しかし故郷は、恵庭岳や樽前山の連峰が聳え、
後は何も無い、だっだ広い平原が、ただあるだけだ。
その空間が、私の精神の根底を育てていった。
本州の長い日本の歴史に比べて、北海道開拓は明治100年。
初めて屯田兵によって開拓された真新しい大地だったはずだ。
何もなく、誰も居なかった、と思い込んでいた。
それが、3000年以上の縄文後期の高度な文化を有していた事に、
驚いたのは、私一人ではない。
実は、大地の下、大河の水底で、
目に見えない数多くの先住民なる祖先の魂に育てられて
今日の自分がいた、と考えるようになったのだ。
これは、一つの精神の変革でもあった。
当時の発掘ニュースを見ると、こう書いてあった。
・・・・・・・・・・カリンバ3遺跡の発掘が世に喧伝されたのは、第一にベンガラ(酸化鉄)や辰砂(硫化水銀)の赤と炭素の黒をさかんに使った漆塗りの製品がたくさん出土したことである。赤漆をかけた櫛や額、首、腕、胸、腰などに着ける飾り、帯などがたくさん出た。なかには黒漆をかけたものもある。櫛の赤漆は黒髪を引きたてることを縄文人も知っていたのであろう。その赤色も真紅、ピンク、オレンジの3色があり、それぞれ用途によって塗り分けているようである。それにしても大変な技術をカリンバ3遺跡の縄文人は持っていたのである。・・・・・・・・・・・・・・
そのような高い技術力をもった漆は、日本最古という事であった。
それが今度は、日本最古の模様編みが、再び恵庭の地から出土された
ニュースが、今朝の道新一面に掲載された。
記事の内容は・・・・・・・・・
恵庭市の柏木川4遺跡で二〇〇六年九月に出土した縄文時代後期の布について、道埋蔵文化財センター(江別)は二十四日、解析の結果、数種類の「模様編み」が施された編み布だったと発表した。解析を進めている国立民族学博物館(大阪)の吉本忍教授(民族技術)によると、縄文時代の模様編みが確認されたのは国内初。
編み布には非常に複雑な編み込みの技法が用いられており、吉本教授は「世界的にも類のない資料で、当時の人々が高い技術を持ち、デザイン性の高い衣服を身にまとっていた可能性がある」と話している。
編み布は柏木川河道跡から出土し、放射性炭素年代測定などにより、約三千二百年前のものと推定した。植物繊維によって作られたとみられる。縦一・二メートル、横六十センチの範囲から六十七の断片に分かれて発見された。すべてが一枚の布なのかは判明していないが、縄文遺跡から一度に出土した布としては国内最大級という。
縦糸と横糸を絡み合わせる「もじり編み」という技法が用いられ、そのパターンが一つの布片に複数見られた。中には横糸の一部を引き出して団子状の模様にした部分や、太い横糸に八本の細い縦糸を編み込んだ部分も確認され、技術の高さを裏付けているという。
縄文時代の編み布はこれまで、漆をこすための布が出土したことがあるが、編み方は単純だった。・・・・・・・・・・
柏木は、何も無い原野で、
私の懐かしい心の原風景でもあった。
今住まうまほろばの「無限心庵」も、
ひょっとして、アイヌの方々の祭祀跡だったのかもしれない。
余りにも出来過ぎているエリクサー・トライアングルの構図は、
きっとそのような方々の魂が、私達を呼び起こすために、
記した目覚めのターニングポイントかもしれない。
時と空間は、今まさに繋がり、溶け出している。
コメント
縄文時代に編んだ服を着ていたなんて、ロマンチックがとまらない。。。
龍穴に行く私。。。
龍族の一員だった私。。。。。
時と空間は、今まさに繋がり、溶け出している。
ぐるぐるとうねった時の流れが
中心に向かうにつれて勢いが
早まりますね
Posted by: 白樺 | 2008年04月28日 13:30
ロマンチックがとまらない。。。
オモシロイ、ステキな表現ですね。
龍族の一員・・・・
なるほど、ピッタシですね。
姿態が、すでにアジアン・ビューテイーですね。
何千年来の愛憎が、
きっと溶け出す時がくるのでしょう。
その儀式を待っています。
Posted by: ムックリ・トンコリ | 2008年04月29日 10:04