●マリンバの彗星
マリンバと言えば、
ジャズのミルト・ジャクソンが大好きで、
あれほど心を解きほぐす奏者も稀で、
音楽という本来が、そこにある。
本当の意味でのヒーリング音楽だと思っている。
先日、玉生君の残していったCDの中で、
マリンバの曲集があった。
三村奈々恵とある。
一度聴いてみて、久し振りに心捕われる
演奏に出合った。
その確かな技量、
抑制の効いた感性、
リズムを刻む正確で細かな揺らぎ、
知性と叙情の融和、
二十代とは思えぬ老成した解釈。
既に完成された領域を跨いでいた。
これは一聴して大器と感じた。
バッハの『シャコンヌ』などは、
ブゾーニのピアノ版や、
斉藤秀雄先生のオーケストラ版や、
セゴビアのギター版など、
様々な編曲があるが、
何れにもない解釈。
抒情に流されず、余韻を排し、
民族風木琴の音韻で朴とさせ、
骨太で、しかもその間から流れる
溢れ出る音楽性は只者ならぬ風格さえあった。
見れば、モーグルの上村愛子さん似の美人には相違ないが、
うら若い女の子が、かような才能・才知を持ち合わせるとは、
ただ驚くばかりだ。
これは、今生だけでこの技量を獲得出来るとは思えない。
おそらく、前世というものがあって、その積み重ねの上で、
今生にその花が咲き開いたのだろう・・・・・・・・・。
しかし、天才といえば、聴覚が不自由なパーカッショニスト・
エヴリン・グレニー(Evelyn Glennie)のことを言わねばならない。
それは何時かの機会に。
(Transformation of Pachelbel's Cannon - Nanae Mimura, Marimba)
(Debussy on Marimba - Nanae Mimura)