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2008年07月14日

●月の光を、背に受けて・・・月光仮面

「月光仮面」

「月の光を、背に受けて・・・・・・・・・」

このバラードというか、挿入歌を死ぬまでにもう一度聴いてみたかった。
それが、たまたま動画で目に飛び込んで来た。
実に、50年ぶりの再会で、何と言って良いのか分からないほど感激した。
一挙に、頭がハイテンションになったのは、言うまでもない。

1958年、私が小学校2年生の時に、放映が始まったTV「月光仮面」。
いわば昭和レトロの時代真っ只中で、テレビ普及と重なる。
それは「ALWAYS 3丁目の夕日」より何年か前のことだ。

今のように娯楽も多くなく、
プロレス中継が始まると、
近所の人たちが来て、家の前は黒山の人だかりになり、
みなテレビに釘付けになったのを、今でも思い出す。

そんな時、颯爽と登場したのが「月光仮面」だった。
友はみな、風呂敷を首に巻き、高い所から飛び降り、
「月よりの使者」を名乗る。
皆、正義の味方になりたがるので、あたりは仮面だらけだ。

学校の休み時間ともなると、夢中で仮面ごっこか、漫画を描く。
そんなヒーロー「月光仮面」は僕らの時代の英雄だった。
とにかくカッコ良かったのだ。
そんな絶対的な想いが募ってか、今でも当時の興奮が甦って、
恥ずかしながら同じように興奮してしまうのだ。

「チャンチャンチャンチャンチャンチャン、チャーンチャチャン・・・・・」との前奏曲が始まると
眼が潤み、血湧き肉踊り、心臓の鼓動が高鳴る。
もう自分自身が「月光仮面」になりきってしまっている。
「ドーこのだーれかはシーらないけれど、だーれもがみーいんな、しっているー
・・・・・・・・・・・・・・・・」この歌が始まると、皆子供たちは一心同体になる。

今の子供から見れば、かっこがダサいのだろうけど、しっかり刷り込まれている団塊のおじさんたちは、あのサングラス、あのマスク、あのマント、あの拳銃、あのホンダの白バイク、どれをとっても非の打ち所なく尊くて、美しく、随喜の涙モノなのだ。

原作者が森進一「おふくろさん」の川内康範さん、漫画が桑田次郎さん、役者が大瀬康一さんだった。大瀬さんは正義の美青年に相応しく、次々と打ち出される「豹ジャガーの眼」「隠密剣士」の主役であり、時代のヒーローでもあった。

最後の
「懐かしくて、もう泣きそう・・・・・・・  泣けばぁ(ーー)・・・」のテロップには、可笑しさの余り、腹をかかえて笑ってしまった。みな同じ思いなのか・・・・
そして、最後のタイトル
「憎むな!殺さすな!赦しましょう!」には今では笑ってしまう。
どれもがテーマが勧善懲悪で、悪者をやっつけるという連続の中で、これが唯一救いだったかもしれない。

そんなこんなで、「月光仮面」が引き金になって、当時少年の心に焼き付いたテレビ番組のタイトルが次々に思い出されたのには、自分でも驚いた。



(怪傑ハリマオ)

民謡歌手でもあった三橋美智也さんの高らかに唄う「怪傑ハリマオ」も、目頭がとたんに熱くなる。
東南アジアを舞台とした異色の筋立てとヒーローに不思議な共感を覚えた。
この主題歌は、何せ私の数少ないカラオケの持ち歌なのだ。
この正統(?)な唄い方で、カラオケでは唯一高得点を打ち出すのだ。



(七色仮面)

この漫画も良く画いたなー、と記憶する。
顔がクルクル回って、「ハァッ!ハァッツ ハァッツ!」と笑う声が何ともたまらない。


(まぼろし探偵)

今見れば、面が実に滑稽なのだが、当時みな夢中だった。
それは漫画から入って刷り込まれていたので、外見の可笑しさはちっとも可笑しくなかった。
まほろし探偵.jpg
何と、少女時代の吉永小百合さんが出演。



(白馬童子)

これが、あの山城新伍さんのデヴュー作と知れば、驚くだろう。彼も若かったが、正義の使者は当時まぶしかった。あの盆踊り風の主題歌が流れると、心浮き立った。あれは日曜日の夜7時だったかなー。
こう回想する私は、完全なALWAYS状態であります。


(少年ケニア)

これはアフリカということもあって、記憶している。「アフリカだ、ジャングルだ、ウーウウウウー・・・・・・」と聴いて、思い出す人も多いだろう。


(赤銅鈴之助)

このテーマ曲はラジオで最初鳴っていた。当時、相撲の実況放送もラジオで聞いて、手に汗を握った。「鏡里ーー。大内山ーーー」みなさん、知らないでしょう。大鵬はずっと後の時代。夜は、ラジオの浪曲、徳川夢声さんの「宮本武蔵」の朗読があって、子供心に響いていたナー。


(豹・ジャガーの眼)

「月光仮面」の後、大瀬康一さん主演で大陸が舞台だった。ジンギスカンの血をひく日本人・黒田杜夫(モリー)と清王朝再興を目指す秘密結社「青竜党」の娘・錦華が、悪のジャガー秘密結社”豹の眼”とのジンギスカンの隠し財宝争奪戦に挑むストーリー。二部日本編の笹竜胆のモリーがカッコ良かったなー。


(「隠密剣士」)

これも、大瀬さんの第三弾なのか。主題歌が子供向けにしては、演歌風で、微かに記憶にある。

自我の芽生え

こう辿れば、当時意外とテレビ番組が豊富だったことに驚く。
しかし、自分としては、やはり何といっても「月光仮面」が最高で、他は色どりが薄い。
これは、その頃、世の中何も無かった事に依るのかもしれない。

自我は、3年生頃から芽生え始めるという事を聞いたことがある。
私が小学生2年で自己意識が薄い事と一致するのかもしれない。
3年生以降の番組は意識上にあって、2年生以前のは、何か心の底から湧きあがる感じがして、思い出し方が全然違うのだ。

絵も2年生までは、無心に画いていたが、3年生になった途端、画けなくなってしまった事を記憶している。他を意識し出す自我の芽生えなのだろうか。
だから、それ以前に与えられる外からの影響力の重要性を思うのだ。

勧善懲悪の意味するもの

しかし、作りが粗雑とはいえ、内容的に悪い者をやっつけ、正義に味方する、といった勧善懲悪のテーマが、50年経っても、ゴレンジャーや仮面ライダーや無数のヒーローに今もなお引き継がれている。
後年彼らも私のように述懐するのだろう。
もう有り余るほど溢れ返っている現状、今の子供達は選ぶのが困難かもしれない。
ドラえもんや宮崎駿さんのアニメなど豊富にあって、現代の子供達の方が恵まれている。

しかし、それに比して現在の世の中は、けっして幸福といえる状況ではない。
むしろ50年前の方が、アニメやテレビ番組は少なかったけれど、友達が多かったように思う。
いじめやアトピーもなかった。

いずれにせよ、戦後復興で湧き返り、高度経済成長の路線は、今日まで勧善懲悪のTV映像と共にあった。その延長上に、今、子供たちが夢中になっているゲームがあり、その基本構造が、敵を殺し、自分が生き残るという一貫したものだ。
そうはいえ、娯楽番組とはそういうものかもしれない。

「水戸黄門」を観るお年寄りも同じ事で、ご印籠に心の臓が高鳴り、悪代官がひれ伏すと、それ見たことかと、心中やんやの喝采で国民一様に一件落着するのだ。
いずれも、何処の国でも、何時の時代でも、正義は最後勝つと言ったことに終始することに一抹の不安がある。

懐かしさが情緒の中核

社会全体が閉塞状態にある現在、この対立概念を越える世界観を、これからの子供たちに与えるべき責任が我々大人にあるような気がしてならない。
これからは、善悪を超えた和合とか調和とかいった地球環境、人類平和を目指した大きなテーマを元に、子供向け映像作りやゲーム製作を手がけられる事を希望するや切なるものがある。

岡潔先生は、人生において懐かしさの情緒が最も大切であることを力説されていた。
その懐かしさが敵味方の血で塗られたものでなく、豊かな自然の中に開放されるものであって欲しい。


(茶の間にあるテレビ映像1)

コメント

な〜んと・なんと
懐かしい〜(年齢がバレチャウ・・・)

幼い頃に
タイム スリップ フィーバー!?
いいね〜

貧しい国日本が経済の上昇気流
に乗り始めた頃
働け働け・イケイケドンドンの時代

こんなに無邪気だったんだ〜
でも、しっかり二元論の世界

生真面目な日本人には、体質的に合っているのでしょうか・・・・

このセパレーツからユニティへ
それって
「美しい国 日本」???


私の生まれる前のものがほとんどのようですが (とかいって若ぶる)
懐かしい感じがあります。

藤田まことのなんとさわやかなこと
   ・・・笑顔がすばらしいですね。

七色仮面を見ていたら、4歳上の兄がこういうのを
見ていて、一緒に見ている小さな私は怖くて
どきどきしていたことを思い出しました。

ジェスチャーも 懐かしいです。
  素朴な笑いで楽しいですね。。。

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