●蕎麦処「こはし」
札幌卸売市場・有機専門仲買の米内社長が、
「市場の近くに、良い蕎麦屋さんが出来たから是非行ってやって」
と、昨年から、言われていた。
だが、市場に毎日通っているも、中々行く機会が見出せなかった。
その主人が、実は大荷受・丸果元社員の小橋敏之さん。
長く蔬菜部の根物を担当、セリもされていた。
そして、奥様の和恵さん。
この方、魚介仲卸・兼長さんの社長の妹さん。
経理担当で番頭さんでもあった。
先日、時間が出来て、市場帰りのついでに立ち寄った。
すると、「あぁ、まほろばさん!!」
お互い顔を見て、びっくり。見慣れた顔同士だったのだ。
何でも、ご主人はそば打ちの趣味が嵩じて、とうとう蕎麦屋さんになったという。
54歳で途中退職、奥様も後に付いて来られた。
自宅を改造して、とても瀟洒で風情ある造りになった。
元々、網走に単身赴任した頃、置戸町の木工房「空くう」の大野裕迪さんの
クラフトに惚れ込み、これを活かせる仕事がしたかったらしい。
靴を脱ぎ、店に入ってみて、先ず重厚な机に眼が行く。
樺の木を削り鉋で仕上げた表面は中々深い味わい。
汁物も皆木の器で、使えば使うほど、磨きがかかる。
そして、メニューを見て、びっくり!!
そこには醤油が、あの島根の井上醤油が使われていた。
全国の醤油を取り寄せて、最も気に入ったという。
そして一番人気の「ごぼう天せいろ」が小清水の千葉さんのものだった。
二人とも20年来のまほろばの生産者だった。
(「古醤の里 奥出雲から」井上醤油見学記・小冊子)
(千葉教ご夫妻)
その共通の繋がりにお互い目を見合わせて驚くやら、笑うやら。
知らずして、この二人を選んだ小橋さんの目に狂いはない。
食して、なかなか喉越しよく、味わい深い。
これは、皆さんに是非食して戴きたい、と願ったほどだ。
それに、先日聞いた小泉武夫先生のお話に出た
十勝清水の「ほうの木」と同じ「ごぼう天そば」を発明していた。
小橋さんは、かくも話題に上っているとは露知らず。
先日小泉先生が日経にその話を書いたら、
何と、東京の蕎麦屋さんが至る所で、ごぼう天そばを出すようになって、
今は、それがブームだとか。
そんなこんなで、人の縁の不思議さを身近に見た思いだ。
全国食べ歩きも良いが、灯台元暗しで、
案外知られざる名店が、そこここにあるのかもしれない。
誰かが、ドラマのない商品は扱わない、と言っていたが、
店もまた、ドラマがないとつまらないのかも知れない。
人も然り・・・・。
せいろ ¥700
か け ¥700
ごぼう天そば ¥1000
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手打蕎麦 こはし
中央区北10西21-1-2
Tel 011-621-8482