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2008年11月09日

●つけづけ漬物かわら版 6 「身欠き鰊・汐漬鮭・鱒」

そろそろ、漬物かわら版シリーズを終えたい所だが、あと少し・・・

鰊漁 1.jpg

「ソーラン節」や「石狩挽歌」などで歌われるにしん漁の凄まじさは、
今でも年寄りの語り草になっている。
松前の番屋や小樽の鰊御殿など、当時を偲ぶよすがになるが、
今の漁は見る面影もない。
海鳴りのように、向こうから金波銀波のようにニシンの大群が押し寄せ、
その産卵期には、海面が真っ白になったという。

にしん御殿.jpg

ニシン漬けでお馴染みの身欠きニシンとは、ニシンの干物のこと。
「生干し」と「本乾」の二種あって、
主に前者は日常に、後者は漬物用に使われる。
脂が多いので、一ヶ月程カラカラに乾燥熟成させないと腐るし、酸化する。
昔は、熟練の技と北国の寒風が必要だったのだ。
ちなみに「身欠き」とは、戻した干物が筋ごとに取れ易くなることから付いた俗称で、
光物の「磨き」の由来ではないという。

鰊漁 2.jpg

内地では、多くニシン蕎麦に用いられるが、
北海道では意外と食卓に上がらないのではなかろうか。
ということは、江戸・明治時代に、むしろ蝦夷の干物として「北前船」で
関西を中心に運ばれ、向こうで重用されることが多く、料理法も発達した。
これは、昆布と同じように、京料理には欠かせない一品として
煮物や甘露煮・昆布巻きなどの繊細な味付けで必需品となった。

身欠きニシン、ます、鮭 1.jpg
(無添加身欠きニシン箱入り¥780、無油「本乾」¥450)

先日、札幌でも初雪が降り、いよいよ鰊の切り漬け仕込みが本格的になった。
市販の多くの身欠きニシンは、本乾になると干からびて見栄えが悪くなるので、
油を塗りテカリを付けて、購買欲をそそる。
しかし、粗悪な油で、折角のニシンの素味が台無しになり、酸化が体にも悪い。
まほろば扱いのは、油を塗っていない「本乾」なので、
安心して漬けて食べられる。

大根を大胆に切り、腰のある寒キャベツや人参に混じったニシンは、
麹に練られ寒風に鍛えられて、生臭さも飛び、ことのほか味わいを深くする。
その他、北洋紅鮭の塩のきつい「本チャン」や、地元の「秋鮭」、
あるいは「汐マス」漬けも、それぞれにそれぞれの旨味や好みがある。

身近な醗酵食品の王、漬物文化が廃ることなく、
次代の若者に引き継がれんことを。
食の豊かさは食のみならず、国全体の文化を測るバロメーターであろうから・・・。

本チャン 1.jpg
(本チャン)

秋1味.jpg
(秋味)

塩鱒 1.jpg
(塩鱒)

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