●つけづけ漬物かわら版 7 「白菜・キャベツ」
明日、寒波が北国を襲う。
畑の野菜をとり入れに大わらわだ。
収穫を前に、非情な天候が、苦労を泡にすることがある。
老子は「天地は不仁なり・・・・」と説いている。
情けを知らぬ不仁である自然は、時として多くの人命さえ奪う。
所として、一物も実らせない大地もある。
この大自然の営みの全てが愛というには、年月が要る。
人生の善きも悪しきも全て善しというには、年輪が要る。
白菜は、後4,5日寒さが襲わねば、ほとんどが巻いて来るのだが。
しかし、明日からの寒波で、あと2000個畑に残っているが、
1/3の700個ほど収穫されて、あとの2/3は雪の下で、
来春ナ花になる運命だ。
これが、天地の不仁にして仁なる所かもしれない。
人の不幸と思っていることが、後々幸いの種を撒いていることを知る。
思うにならないことは、案外流れに棹差さずに任せるのが良いかもしれない。
大根を干し、漬け終わったら、白菜漬け・キャベツの切り漬けも兼ねて始まる。
農園の白菜やキャベツは特に人気で、我先にと無くなり、嬉しい悲鳴。
白菜の巻きがしっかりしたものを皆さん選ばられるが、
実は巻きが緩い方が旨いと言うことを、
今回の「まほろば農園たより」で報告している。
http://www.mahoroba-jp.net/farm/nouendayori.html
今朝、米を運んで下さった栗山の寺島さんも白菜栽培のプロで、
巻きがしっかり撒いているものは、寒波にあうと茶色に腐ってしまうが、
巻きが甘いと、凍結が来ても、間隙があるので腐らずに、
反って成長して味が甘くなる、と言われた。
このギリギリの生命線で育つ白菜はことの他美味なのだ。
温暖な春夏の物は、比して何と味気ないことか。
キムチにしても旨味が全く違う格段の差に驚かれるだろう。
艱難汝を玉にするというが、寒さひもじさは白菜を極上の食材に仕立てる。
キャベツは通常、無農薬で栽培すると虫食いが酷くなるので、
正品は出来ない、と言われている。
だが、これも驚くことだが、きれいな玉になってる。
しかし、あと200個しかない。
小カブは1000個、聖護院は500個を残すのみ。
青菜類の小松菜、水菜、チンゲン、ターツァイなど沢山出来ている。
凍結が入って、戻らなければ全滅。
多少入っても、戻れば12月半ばまであるだろうか。
本当に山の野菜たちは逞しい!!
寒さを物ともせず、成長する姿は感動的ですらある。
ハウスの中では、大根が一杯積まれて、
来春まで貯蔵される。
歳を越した大根は甘味が増して、それは旨くなる。
店には、大球の超特大キャベツが並べられている。
10〜20kg、50〜80cmにもなるお化けキャベツで、切り漬けに使われる。
5月に播種され、半年かけて10、11月に収穫される。
フランスのチーズ名匠モランさんが、これを見て彼の地でも育てたいと、
種を送ったことがある。その後どうしただろうか。
あと少し12月の声も聞けば、漬物仕込みも終わりを告げる。
このシリーズも一段落となる。