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2008年12月13日

●サービス精神と素味

「社長、帝国ホテルのランチ・バイキングが付いています!」
「へぇーすごいなー。でも、行く暇ないな・・・」
「あっても無くても、パックの値段は同じです」
「あぁ、それなら付けておいて」

気のない返事は、昨日まで東京出張した航空チケットを
経理の斉藤さんに頼んだ時の顛末だった。
ところが、出立前日になって、訪問する某会社から、
「大変申し訳ないのですが、よんどころない事故が起こりまして、
次の日に変更出来ないでしょうか」
との連絡が入り、スケジュールのやり繰りで、昼にゆとりが出来たのだった。
品川から有楽町、極く近いので足を延ばすことにした。

帝国ホテル 旧.jpg

何十年かぶりの皇居周りで、建築家ライトの旧帝国ホテルを探したつもりが、
現代的な建物になっていて、「あの風景は何処に行ったのだろう?」
と、半ば浦島太郎的心境に戸惑っていた。
既に、愛知県の明治村に移転されたという。
「そうか、あれから来ていなかったんだ」
と感慨に耽る自分は、随分老けた訳だ。

早速、最上階のバイキングレストランに直行するや、丁重に席に通される。
周りは、皇居の森や国会議事堂の眺めが絶景。
ややしばらくして、ここの支配人とおぼしき白髪の人が、
「失礼ですが、このチケットには『日航ホテル』となっておりますが・・・・」
それを見て、私は顔が蒼白となった。

確認をするまでもなく、自分は帝国ホテルしか聞いていなかったし、
斉藤さんもそう理解していた。
どうして、こうなったのだろうか。
店に電話をかけたがらちがあかない、ましてや日航の台場までは面倒だ。
「引き上げよう」と席を立った時、その支配人がつかつかと寄って来て、
「どうぞ、そのままお席で、お召し上がり下さい」
と、笑顔で再び招き入れてくれたのだった。

格式あるホテル。
さて、このような時、どう対処するか。
おそらく、みすみす損をする珍客を丁重に門前払いするであろう、他では。

この老支配人は、この客に恥をかかせてはならない、
さらに、この機会が次の縁をもたらすだろう、と計算したのかもしれない。
が、すかさず一瞬の判断を的確に下したホテルの対応は見事だった。

一流のサービスとは、こうあらねばならないのか。
天はこういう芝居を打ってまで見本をみせたのか、と思ったほどだ。

帝国ホテル バイキング.jpg

さらに、食事中、その老支配人は何度も寄って来ては、
「あのエスカルゴは美味しゅうございますよ」とか
「あのビーフカレーがお勧めです」とか
「味が変わりますので、スプーンをお代え下さい」と4本も用意したり、
それは、痒きに手が届くが如き心くばりに、
こちらが恐縮するほど、ほとほと感心してしまったのだ。

今まで、色々なホテルで食事をしたが、
さすが宮内庁御用達とあって、他を圧した格調だった。
しかも昭和33年、日本で最初にここでバイキング方式を始めたのが、
あの名シェフ村上信夫総料理長で、増毛出身の三国シェフも鍛えられたところであった。

村上シェフ 6.jpg
三国シェフ 5.jpg

常日頃、クレーム処理に関しては、
「ピンチがチャンスだ!」と説いて来た。
事実、20年来のお客様はそれを透関してお互いの信頼を築いて来た。
確かに今回の事で「必ず今度誰かをお連れしよう」と心に思わせる恩を感じてしまった。

この絶対の信頼性は得難い。
これはお金には代えられないものだ。
「損して得取れ」という家訓が活きている。
一流のサービス精神とは何かをまざまざと見た。

有り難い好機、しかもめったに有り得ない場面。
幸先の良いスタートを切って、
今回三日間の商談は、思いの他収穫があった。
今、新商品を開発して来年に向けて販売する「内祝い」を戴いた。

帝国ホテル 新.jpg

これまで、これはと思う所で飲食をして見た。
料理には、さまざまなファクターがある。
一概にこれとは言えないだろう。
しかし、最後は「素味」に行き着く。
行き着くと言うより、行き戻る。
つまり、原点が勝負であり、料理人はそれをどうするかだけだ。
素材以外に無いとさえいえる。
いかに技を凝らしても、材料以上にはならない。

外食して、最後にはまほろばの材料との比較になる。
まほろばは、技は劣るかもしれないが、素材で勝負だ。
そこは、何処の老舗にも、どの料理人にも譲れないものだ。
店に並べるものは、どんどん使って料理を出す。

ある意味、こんな恵まれた厨房はない。
こんな贅沢な素材を使っている店はないと自負出来る。

そんな中から、年末クリスマス、おせちの
オードブル、鮨類を、シェフ橋本が腕によりをかけて出します。
是非、自然食の醍醐味を味わって頂きたいと思います。

http://www.mahoroba-jp.net/restaurant/whats_new.html
(クリスマス・年末料理のご案内)

年末 すし.jpg

オードブル 10.jpg

オードブル 11.jpg


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