●子を思う親心
「自然医学」誌、3月号「俳壇」に、
ゆかりちゃんのお父さんの句が選ばれていた。
「俳壇」 選者 俳人 秋山素子
娘と共に三日続きの秋の虹 城越 清
娘さんの就職先「まほろば」へご夫婦で訪ねられての句です。
親元を遠く離れて仕事をしている娘、
女の子であれば親としても気にもかかることでしょう。
お店のオーナーにお目にかかり、一安心。
娘さんの生き生きした様子にも安堵。
オーナーの計らいで、娘さんが3日間もご両親と店と近辺を
案内(旅)なさったということが、お便りにありました。
3日間の旅の間、虹が出たのです。
久しぶりに会った娘との3日間の旅。
それだけでも心満たされた思いでいっぱいなのに、
秋の虹まで3日共に見ることができたということへの感動。
一句の要は「娘と共に」であり「秋の虹」です。
作者にしてみれば、
虹が出たんだから句に詠んだ、
と思っていられるでしょう。
しかし、大自然は、その人に相応しいものを見せてくれるのです。
秋の虹は、大自然からの娘さんと作者ご夫婦への贈物でしょう。
(秋の虹・秋の季語)
お父さんの句を読むと、誰もが思い出される山上億良の歌がある。
しろがねも(銀)くがねも(金)玉もなにせむに勝れる宝子にしかめやも
片や、吉田松陰29歳の秋、処刑を前に、獄中にて親思う歌を遺す。
親思ふ心にまさる親心けふのおとずれ何ときくらん
(若き吉田松陰)
親に先立つ不孝は、松蔭身に受ける刃より、心に深く突き刺さっただろう。
父恩は山よりも高く、母恩は海よりも深い、という。
親思う子心、子を思う親心、何れの世、何れの処においても
変らぬ親子の情愛は、喩え難く、美しく果てしない。
一人一人、尊い子女を預かる身としては、
実の子として、将来の幸いを祈るばかりだ。
特に若者には、良き縁組に恵まれて、
まほろばで働いたことが一生の宝となるよう・・・・
城越さんのお父さんから、
「娘に、書を教えてほしい」と言われたまま、
互いに多忙のまま、未だ果たされない事が心にかかっている。