●夕張メロンと市場
今朝、札幌卸売市場では、「夕張メロン」の初ぜりがあった。
その時、山菜の下見をしていて全く気付かなかった。
隣のセリ場で一瞬で終了した。
1箱2玉で500,000円。
仲買の00ちゃんが50万の手を揚げた。
誰もが、これに続くと思った。
しかし、誰も手を出さなかった。
これは、異例なことだ。
つまり、指値で仲買に依頼する処が何処もなかったということだ。
デパートも通販会社も小売店も今年は諦めた。
ある意味、昨年のような250万円という
バカ値で庶民は動かなくなったということだ。
不景気の反映か、少し普通の市民感覚に戻ったのかもしれない。
ただ、取り巻きの報道陣のスゴサには圧倒された。
夕張の再建問題もあり、市長も自らセリ場に参加されたという。
これは、他愛のない一場面かもしれないが、
この一瞬に今の世相が映っていて面白いと感じた。
ところで25年前、市場に出入りした頃、私は八百屋をすぐ止める覚悟だった。
しかし、ついに今日まで続いていてしまった。
「戸板一枚で誰もが出来る商売」で、
最下層のあきないだと言われて来た。
しかし、私がこれまで続いたのは、庶民の底に生きることで、
そこに何かを感じ、何かを学んで来られたからだと思う。
ここほど、四季の刻々の変化、経済の時々の流行を
身近に学ぶ所は他におそらくないだろう。
世間を全く知らなかった私にとって、ここは地べたに身をすり付け、
まるで地に伏し、天を仰ぐような学習をさせられた。
人情の機微も、金銭の駆け引きも、物を見抜く力も、続けることの忍耐も
あらゆることを教えてくれた人生の学校だった。
すぐに観念的に、頭でっかちになりがちな自分を鍛え直す、
人生の教師が沢山揃っていた。
天が私を、ここにがんじがらめにさせて置かせたのだろう。
四天王の足蹴にされている天邪鬼のようでもある。
心が折れそうになったり、体が萎れそうになった時、
仕方なく引きずる足を市場に運ぶ。
すると、新鮮な野菜や果物、魚介達が「おはよう!!」と言って、
私を励まし、勇気付け、エネルギーを与え、元気をもらえるのだった。
まさしく、そこは私の甦りの場でもあった。
八百屋は、人類始まった時から、
物々交換で成り立った商売の原点だろう。
この原点に立って、私は一生を終えるだろう。
何の冠も要らない。
ただの八百屋のまま、その朝も市場に向うであろう。
コメント
まいどです。
昨年同じニュースを拝見しました。ご祝儀もので驚愕の価格がつくというのは知ってましたが1/5になるとは。わずか1年ですが世襲を反映してますね。
時代のサイクルがどんどん速く感じる昨今、原点である衣食住の「自然食」の現場で働くものにとって、今ブログでまた足元を確認しなくてはいけないと思いました。ありがとうございます。
話をメロンに戻りますが2個で50万。。。庶民からしたら十分高値ですけどw
Posted by: muso 橋本 | 2009年05月15日 18:08
旬な物を旬なうちに。山菜は今しかたべられない物が有り自分で採りに行く、市場では苦労して採った山菜がとても安く並んでいるこれでは遠くまで車で往復しては採算合わないでしょうね。魚も時鮭や鰹を見ると又美味しい時期が来たとつい買ってしまう。味はとても良い事が多い、しかし添加物の入った加工品は失敗が多い舌が痺れるような感じがする物が有るのでまずどうしてもひっ繰り返して成分を見てから考えるようになってしまった。野菜も農園の取れたてを生でかじって確かめていたのが
とても懐かしいです。皆さん頑張って下さい。
Posted by: rabit-s601 | 2009年05月16日 04:08
八百屋が最下層のあきないだとは思いません。庶民にとってなくてはならない生活の必需品を毎日毎日運んでくれるとても大切な職業です。
でも宮下さんの昔からのレベルの高い理想があったればこそ、今未来への指針ともいうべき素晴らしい八百屋さんの形になったのではないかと思っています。
理想を追求してこられたからこそ、とても大変だったかもしれないけれども、今色々な方の応援を得て、その理想が実を結びつつある形になってきたのではないでしょうか。
これからの人類の未来を背負っている、そんな素晴らしい生き方を、今まで貫き通してこられたことに乾杯!です。
これからもどうぞ頑張って下さいね。「まほろば」大好きの皆さんが応援していますから。
Posted by: 千枝子 | 2009年05月16日 20:54
あくまでも祝儀値の話で、それが後の物の値段の動向を占う一面があります。実際、最初から全体にひどい安値で動いています。肝心のお盆前に売れ過ぎて、要る時には高値になるパターンを繰り返しています。総じてメロン農家が多くなり、年々安価になって来ましたね。JASメロンの早川さんのが人気で、充分皆さんに供給出来ないのが心配ですね。
6月半ばには出荷されるでしょう。早目のご注文を。
それぞれの山菜の旬のピークは二、三日ですね。長く続くという事がありません。何かワーと来る事があるんですよ。その時、あーまだまだ、と思って油断すると、次の波が来ないんですね。これは自然のリズム、そして人生のリズムなんだと思います。人も来たな、と思った時がチャンスで、それを逃すと再びと来ません。チャンスをどう読み、どう捉えるか、が人生のコツのような気がします。
昔、インドで八百屋をやっているグルの話を聞いた事があります。それから済公活佛の話を知ってますね。凡俗の中で、道を行ずることを教わりましたが、その意味が最近少し理解出来てきましたが、きっと八百屋のおかげでしょうね。人類がなくなるまで続く商売でしょう。安心して続けようと思います。
ありがとうございます。
Posted by: まほろば主人 | 2009年05月17日 14:14