●「波紋音ライブ」inまほろば
偶然性の音楽、「チャンス・オペレーション」という概念を
世に問うたのが、あの茸好きの「音の哲学者」ジョン・ケージだった。
その一つに「プリペアード・ピアノ」という
ピアノ線に消しゴムやボルトや木切れを挟んで、
ピン・ポン・グァン・・・と予想外で、奇妙な音を鳴らす
不確定な現代曲があった。
もう50年も前に起こった出来事だが、
実は楽音だけが音楽だと縛り付けられていた観念が、
日常で身近な音にこそ、真の音楽があるという事実を気付かせる、
まるで禅問答のような問いを米国のケージ先生は発したのだった。
私も若い頃、この洗礼を受けた一人なのだが、
耳を澄ませれば、自然に限らず人間の所作それ自体もひっくるめて、
生活全てが、実に音楽的だ。
そんな音楽的縛りや決まりを解き放して、
鉄のオブジェから躍り出る音達の語りを聞こう、
とするのが、今回の企画、
「波紋音」ライブだ。
代々鍛冶師だった斉藤鉄平さんが、
たまたま造ってしまったという鉄の太鼓。
表面に亀裂を入れたものが、
言うに言われぬ音の紡ぎ合いをする。
その音色、間合い、沈黙、高低・・・・・、
これが、実に音楽といえば音楽なのだ。
今、武満さんが生きていれば、すぐに使ったに相違ない。
確か、釧路出身の奈良さんのコンサートで見受けた。
そんな魅惑的な独創楽器を引っさげて東京の永田さんが、
まほろばにやって来る。
あの薄暗い地下洞ならば、絶対ピッタリ来るに違いない、
と今からワクワクしている。
「0−1テスト講習会」が開かれた東京池上の実相寺で、
クリスタルボールの牧野さん達とセッションしたDVDとCDがある。
その仲間の一人でもある永田さん。
指揮者の故岩城宏之さんと同じ芸大の打楽器科を卒業された。
音楽の基本をしっかり身に付けられた上で、
単に感性に流されない知的な構成と、
研ぎ澄まされた音感が奏でる演奏には、
安心して聞ける懐の奥がある。
この出会い、
きっと波紋の様に
何かが拡がって行くに違いない。
実は、その場の空気の流れに身を任せて奏でる
波紋音こそ、偶然性の音楽の極みでもある。
しかし、この偶然たらしめる結果の因縁は、
実は複雑な必然性の為せる業なのだ。
私とあなたが、ここにいる偶然は、
すでに約束された必然だった。
これほど重い必然と偶然の出会いはないのだ。
是非、当日、心の共演者の一人として
参加されることを熱望するや切なり。
その参加を必然としたい。
その前日の19日(金)に、
コミュニティFM「三角山放送局」に私が生出演して、
「波紋音」のことを、少しご紹介しますね。
これもお聞き逃しなく・・・・。
http://www.sankakuyama.co.jp/contents/w_mack/mackpotal.php
●放送日:平成21年6月19日(金)
●番組名:「フライデー・スピーカーズ」(16:00〜19:00)
●放送時刻:16:30〜17:30
●テーマ:「まほろばが考える、食とは、農とは、人の営みとは」
●ゲスト:宮下周平さん(株式会社まほろば代表取締役社長)
●聞き手:杉澤洋輝
コメント
永田さんの波紋音、磯田さんから伝わってきていましたが、ベースの吉沢さんやサックスの梅津くんとも知り合いだったとは。吉沢さんとは亡くなる前に1対1でベースを弾いてもらったことがあります。フリージャズとも即興でつながっていたなんて驚きです。波紋音の広がり楽しみです。
Posted by: 有岡 眞 | 2009年06月14日 13:45