●小泉さかな塾 あれこれ
この春、東京農大を退官され、晴れて自由の身となられた小泉武夫先生。
30日(土)に、佐藤水産主催の「小泉武夫のさかな塾」が開かれ、講演された。
満席の聴衆、小泉節にみな酔い痴れ、あるいは爆笑しつつ、
何時の間にか、海産国日本に生まれ合わせた幸いを謝した。
その話の冒頭、
モンゴルは羊が主食と思いきや、何と魚も大いに食しているというのだ。
因みにモンゴル国旗は魚を図案化したもの。
北海道のイトウも棲息している。
チョモランマ(エベレスト)からの伏流水が湖を形成しているのだ。
(モンゴル国旗には赤と青に彩られ、
左側の模様はソヨンボと呼ばれる自由と主権のシンボル。
肉を主食とし、海のないモンゴル国の国旗に、なぜか魚が描かれいる。
2匹の魚は目を見開いて物事に対峙することと、永久性を象徴しているそうです)
黒龍江省ハルピンから北、ロシア国境に近い満州里に
ダライ湖(達莱湖)という大きな湖がある。
ちなみにダライとは海の意味。
彼のダライ・ラマとは、海のような人となるそうな。
何処から湖で、何処からが草原だか解らない、
水と土が一連なりに連なり、
天地が一枚の面になっている。
そこに、何とかもめが飛んで来るという。
その大湖で、遊牧民が馬の尻尾で編んだ糸で釣りを始めた。
すると、次から次へといくらでも釣り上げられる。
大漁の魚を馬の両腹に下げた袋に詰めて帰途につく。
これだけの魚をどう処理するのか。
干すのか、生か、塩漬けか、そして醗酵か。
彼らは、先ず土中に底の深い大きな穴を掘った。
そこに川カマスなどの捕った魚のウロコをとって並べていく。
そして周囲の湖で採取される岩塩を満遍なくまぶす。
さらに牧草を敷くのだ。
これがミソだ!
次に、また魚、塩、草と順々に積み上げて繰り返す。
最後に、一番上に土をかぶせて蓋をする。
密閉することで空気を遮断する。
これで嫌気性菌の乳酸菌が草から発生して、
最も活躍出来る理想の場となる。
これは日本の熟鮨(なれずし)と原理が同じだ。
これを2〜3ヶ月で醗酵し、1年後に掘り出して食べる。
そして包丁を入れるとスーと切れて、
100人が100人、誰もがチーズだという。
鮨の意味は、魚は酸っぱくて旨い、と書く。
まさに醸(か)ぐわしくなるのだ。
ついでに牧草も食う。
まるで、漬物のように。
馬や羊の子は下痢し易いので、これを食べさせてすぐ治すと言う。
乳酸菌には、整腸作用があるのだ。
その牧草を分析すると乳酸菌がビタミンと共に、実に豊富だったという。
彼らは羊肉の味付けに、この醗酵魚を使う。
この発酵草は人間や家畜の薬としても
昔から利用されていたのだ。
あの大地のモンゴルで、どうしてこのような智恵が備わったか。
これも、風土が織り成す自然が授けた叡智なのだろう。
そんな中、北海道の飯鮨(いずし)の醗酵食品に話が進み、
毎年暮、必ず釧路のカネセフーズの魚谷会長から、
絶品の紅鮭の飯鮨が届くと言う。
かねてから、小泉先生と魚谷さんは親友だ。
正月や秋には釧路に長逗留して日頃の疲れを癒すと言う。
山菜を取ったり、釣りに行ったりと。
まほろばでは、浜益の木村テルさんの手作り本漬け飯鮨を、
20年以上にわたって戴いている。
今冬は、是非この魚谷さんの紅鮭飯鮨を加えたいものとお頼みした。
秘伝の造りで、門外不出。
小泉先生だけの楽しみにはさせまいぞ、させまいぞ!
(左から魚谷さん、加藤さん、小泉先生)
魚谷さんは元より、
仲買福田商店の加藤専務は、市場一の鮭通だ。
本当に、鮭の世界は驚くほど奥が深くて広い。
その二人が協力して、まほろばの
オリジナル塩鮭の加工に乗り出してくれる。
最高の夢のタッグだ。
魚谷さんから、塩鮭加工秘伝の薀蓄を聞いて唸ってしまった。
春の時鮭、秋の紅鮭と、こだわりの逸品を今年世に出したいと思っている。
お歳暮に極めつけの「まほろば手塩鮭」を、今からお楽しみに・・・・。
コメント
最近知ったのですが、共に講演なさった森下敬一氏は肉は血を汚すからガンの元となると、甲田光雄氏は現代の魚はダイオキシンの宝庫だとおっしゃられておます。宮下氏はどのようにお考えでしょうか?もしよろしければ、お聞かせください。
Posted by: sin | 2009年06月03日 08:32
これは、大きくてしかも興味深い問題ですね。
また、まほろばの在りようを、理解して戴く良い機会でもあります。
今、出張で不在、売り出しと講演会の多忙のため、ゆっくり書く時間がありません。
済みましたら、書かせて戴きますね。
お待ちくださいませ。
Posted by: まほろば主人 | 2009年06月07日 08:56
ご返信ありがとうございます。心よりこの問題の解答をお待ちしております。
Posted by: 廣田信也 | 2009年06月14日 08:09