●「仙鶴」あるいは「関節炎」
昨年、懇意にしている銘木店で、稀少の竹材を戴いた。
その面白い節の曲がりようを見て、茶杓を作ってみようと思った。
茶の湯の嗜みもなく、無論茶杓に至っては、その決まりも知りようがない。
しかし、無知の怖いもの知らずで、ちょっと悪戯をしてみた。
短い節の縮みようが如何にも粋で、真中の裂けた皮が自然によじれて浮いている。
先は表皮を使うべきだが凹みがなく、止むを得ず裏を使った。
それで反って景色が出来、尻の収めも蝋燭で焼いた。
見れば、ゴツゴツしてこれぞ「へうげもの」に違いない。
そこで思い至ったのが、深山幽谷で痩せ細った仙人の骨だった。
名付けるなら定めし「仙鶴」の号しかなかろう。
しかし、いかにも痛々しそうなので、別銘「関節炎」とした。
そうこうするうちに、川喜田半泥子氏の作品集が送られて来た。
その茶碗や書画の中に混ざって、茶杓の作品があるではないか。
銘を「うねうね」とし、常識にとらわれない氏の遊び心が溢れている。
「東の魯山人、西の半泥子」と言われた氏はあくまでも趣味人であり、
「半(なか)ば泥(なず)みて半ば泥まず」の禅語が面目躍如として作品に表れる。
俗に入りて俗に染まらず、芸に遊びて芸に溺れず、
その半ばする生き様に、むしろ氏の潔さを感じる。
ついで来週には、まほろばオリジナル上級抹茶が発売される。
菱和園の小尾哲史さんの特別の計らいで、これが実に甘く旨い。
有機栽培でしかも高からず、このような深い茶は初めての事。
この「仙鶴」で茶を運ぶと、ことの他味わい深い。
コメント
う〜ん、楽しんでおりますね。
新しいオリジナル上級茶を味わってみたいです。
楽しませて頂きました。
Posted by: 澤田季里 | 2010年01月25日 15:59