●大地に生ける・・・写真集
この度、札幌在住の花作家「森直子」さんが、
「KIRIBANAー北海道の大地と切り花の生命」と題した
素敵な写真集を出されました。
2年かけて道内の秘境を訪ね、
あえて切り花を無垢の大地に生けた、
挑戦的とも、融合的ともいえる
その決意と思い入れが素晴らしい。
是非手にとってご覧になられますことを。
(「KIRIBANAー北海道の大地と切り花の生命」144P ¥4200)
人間は、木を切り、花を手折るものです。
大切なのは、切られる木、手折られる花が”喜んでいるか否か”ということでしょう。
花を活ける、ということは、花の生命を「移し変える」ということでしょう。
真心を持って移し変えられた花は、必ず喜んでいる、と私は思います。
−−映画/地球交響曲(ガイヤシンフォニー) 監督/龍村 仁 −−
拝啓
こんにちは森直子です。
いつもありがとうございます。
この度、想いを形にした文章を添えた写真集が形になりました。
お手紙で大変失礼とは存じましたが、お知らせさせていただきました。
花をいけている私は、こんなことを言われたことがありました。
「自然に生えている木や草花をわざわざきっていける必要がどこにある。
そのままの姿が一番美しいのだから、殺すのと同じ。罪悪だ。」
ずっとそのことが心に残り考えていました。
それが、このたびの写真集の
「北海道の大自然と切り花の命の調和と融合」というテーマに繋がりました。
手つかずの大自然は美しく、逆らえるはずもなく、
なにものも追随しない掛け値なしの荘厳さであり、
次の世代へと責任をもち守るべきものです。
それを使用し、切り、人間がいけることは罪悪なのかと自問自答しました。
人間の切り花文化は勝手なエゴなのかと。
古代、神への捧げものとして生かされていた、植物のいのち、
多くの無理や過剰によって失われていった植物のいのち、
どちらも認め、許し、受け入れて、今あることに感謝し、
愛と慈愛をもって自然の植物や野に咲く木や草花に接しながら、
未来を模索していくことが次へ繋がっていくように思います。
と同時に、これからは豊かな美意識と創造力で進化する、
心で創る文化の時代になるだろうとも思います。
矛盾だらけで割り切れない、多、れでも精一杯、模索しながら変化しつづけること、
それが生きているいのちなのだと感じています。
どうか数年かけ、形になった本を、お手にとってご高覧いただけましたら幸いです。
敬具