●一
とあるお茶の先生から次の言葉を戴きました。
それは千利休の道歌だそうです。
「 稽古とは 一より入りて 十を知り
十より返る もとの其の一 」
あの五つ子の名付け親であり、
109歳(数え)まで長生きされた京都・清水寺管長の
大西良慶師の絶筆が「一」でした。
そのことを次のように説かれておられます。
【一(はじめ)】
『この一は初と読む字で万事はこのから始まるものである。
お互いに生まれてから今日までの事を思うて見ると
事の初というものは神仏のような純粋清純な気持ちである。
だから大人は赤ん坊を見ると、
「赤ちゃんは仏さまのようだ」と言うてほめる。
学校へ入る時、就職の時、結婚の時、
その初の心が、美しく貴いので昔から
「初心忘るべからず」と教えられてきたのである。
ともかく一(はじめ)の心を大切に生きることが
夫々に大切な自分の一生を神仏のお心に添って
生きることであると承知してもらいたい。』