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2010年08月20日

●「くじけない」還暦?!

 私 T

九十を過ぎてから
詩を書くようになって
毎日が
生きがいなんです

体は やせ細って
いるけれど
目は 人の心を
見ぬけるし
耳は 風の囁きが
よく聞こえる
口はね
とっても達者なの

「しっかり
   してますね」
皆さん
ほめて下さいます

それが うれしくて
またがんばれるの私

sibata toyo 2.jpg

    返事

風が 耳元で
「もうそろそろ
あの世に
行きましょう」
なんて 猫撫で声で
誘うのよ

だから 私
すぐに返事をしたの
「あと少し
こっちに居るわ
やり残した
事があるから」

風は
困った顔をして
すーっと帰って行った

今話題の本「くじけないで」。
白寿を迎えた、99歳の柴田トヨさんの処女詩集。
その薄くも短い、文字の大きい読みやすい詩文。
そこに愛らしいトヨさんの写真も載っている。

    忘れる

歳をとるたびに
いろいろなものを
忘れてゆくような
気がする

人の名前
幾つもの文字
思い出の数々

それを 寂しいと
思わなくなったのは
どうしてだろう

忘れてゆくことの幸福
忘れてゆくことへの
あきらめ

ひぐらしの声が
聞こえる

百年は長い。
そこに、どれだけのどれほどの涙や汗が詰まっているのだろう。
どれほどの別れや哀しみの川が流れているんだろう。
でも言葉の一つ一つはやさしく、心にしみて、ありがたい。

    くじけないで

ねぇ 不幸だなんて
溜息をつかないで

陽射しやそよ風は
えこひいきしない

夢は
平等に見られるのよ

私 辛いことが
あったけれど
生きていてよかった

あなたもくじけずに

人生は枯れて枯れて、何も残らなくなる。
その何もないところから、くっきりと誰にでも分かる文字が浮かび上がる。
それは、自然に自然にこぼれた珠玉の言の葉。
日常のありきたりの、当たり前の事々・・・・

詩集最後のそれは、

    秘密

私ね 死にたいって
思ったことが
何度もあったの

でも 詩を作り始めて
多くの人に励まされ
今はもう
泣きごとは言わない

九十八歳でも
恋はするのよ
夢だってみるの
雲にだって乗りたいわ

sibata toyo 1.jpg

今日、私は還暦を迎えた。
朝、会社でみんなの祝福を受けて、涙で声が出ない。
みんなのお陰で、ここまで来ることが出来た。
本当に有り難くって、言葉にならなかった。

トヨさんまでは、まだ40年もある。
まだまだ遠い人生の先。
短いは短いなりの、長いは長いなりの答えが待っているのだろう。
でも、この辛くも楽しい人生は、歩いただけの豊かな実りがあるはず。

神さまに召されるまで、
一日一日を、
一生懸命生きてみたいと思います。

コメント

還暦、おめでとうございます。ご多忙の日々をネットで拝見しては、お体大丈夫かなと思ってしまいます。遅れましたが、いつもお心遣い頂き恐縮しています。どうかお元気でご活躍されますようにお祈りいたします。

この本は二人の姉の誕生日に贈りました。

とってもお顔の綺麗な方で、一人で暮らしている上の姉の環境と似ています。

息子が居ないので、息子の様な訪問医師に
会うのを楽しみにしているようです。

エリクサーの水で大分快方に向かっているようですが、気を送るために毎日電話で健康チェックをしています。

姉の顔も、とよさんのようにおっとりしてきています。「詩」を編み出す言葉って素晴らしいですね。

おめでとうございます。日々のご活躍を拝見し、密かに尊敬と声援を送っております。

みなさま、ありがとうございます。
本当に何と言っていいか、有り難くて、私は幸せ者です。
確かに、毎日息付く暇がないというのが、現実です。
また、歳と共に急速に体力の衰えも覚えるようになって来ました。
でも、まだまだやることが山積して、後ろを向くことなんか出来ません。
あと一踏ん張り、二踏ん張りしなければなりません。
トヨさんに比せば、まだまだひよっこ、一年生に戻ったつもりで頑張ります。
末永くまほろばを応援して下さいませ。
ありがとうございました。

まほろば主人様

3日遅れてしまいましたが、還暦おめでとうございます。

これからも健康にご活躍を!

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