●沙羅の花
先日、神戸の鳥本さまからハガキを戴いた。
それは「沙羅の花」。
初めて目にするその花の引き込まれそうな神秘に、
仏陀生誕の池の蓮の花とだぶって観えた。
「平家物語」にも綴られているあの
「”祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。
驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し。
猛き人もついに滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。”
の名文を思い起こすが、
それにしても、眩いばかりの花の光。
どんな美しいものも、この世でははかなく散り失せる。
されど、浄土極楽の宝池の花は永久(とわ)に枯れることはないという。
心に描いた花ならば、消えずに咲き続けることだろう。
これを、仏教では心華という。
仏陀がニコッと笑って、華を拈(ひね)ったその時に、
法は迦葉(かしょう)に伝授されたと。
「拈華微笑(ねんげみしょう)」。
難しい境地は分からないが、私達に出来ることは、笑うことだろう。
とにかく笑えば、地にも天にも、花々が咲くのだろう。
「笑って、心の花を咲かせよう」。
ん・・、なんだか、今年の言葉になりそうですね。
『笑花』いいですね。