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2011年01月26日

●上川農試場長とTPP その1

「『ゆきひかり』『きらら397』『ほしのゆめ』・・・・・『ゆめピリカ』を、
世界で初めて口にしたのは、私です」と、
標津の安達美佐子さんに紹介された菊地治己さん。
あの稲の育苗育種で有名な北海道立上川農業試験場の場長さんだった。
古代日本から戦前まで栽培されていた大麻の復興に尽力されている。

石油政策で、すっかり悪者にされてしまった大麻であるが、
その脂肪酸はα‐リノレン酸が多く、燃料源から布など、使用用途は驚くほど広く、
日本文化の根底を為して、宮中の神事から庶民に至るまで無くてはならない物だった。
その復活に手を貸して下さる助っ人が、菊池場長とあらば、百人力でもある。

菊池場長2.jpg

その日は、米の育種の話をしてくださった。
場長は、私と同じ1950年生まれで、3月に退職されるとか。
これまで数多の品種を生む中心的指導をされており、
現在道内で栽培されている米のほとんどの生みの親でもある訳だ。

つい20年ほど前まで、道米の余りのまずさに「やっかいどう米」と揶揄されてきたが、
今では、全国的にも「こしひかり」より上を行く食味評価で、温暖化でますます
北海道は米所、さらなる名産地に成長して行くだろう。
これも菊池さんの大功労であり、偉大なる足跡を遺したのだ。

私も以前「自然医学」に、中山久蔵翁の赤毛種のことや
クラーク博士のことを書いたことがあった。
その赤毛種系統は、不思議とアトピーに良好で、まほろばでは、未だに人気がある。
食味はアミロース(澱粉質の一種)が少ないほど粘りが出、
蛋白含有率が低いほど旨味が出るとされている。

旨い米は、みなこの傾向を追うのだが、
「ゆきひかり」は逆で、アミロースが多く、蛋白質が高いので、
だんだん、現代人に敬遠されて、今では道の推奨米から外され、
誰も作らなくなってしまった。

ちなみに、菊池さんが、この「ゆきひかり」を初めて口にした時、
こんな美味しい米があるものか、と思ったほど感激されたという。
それほど、それまでの道米は、不味かったのだ。
北大の園山教授も、「ゆきひかり」の抗アレルギーの機能性を発表されているが、
「ゆきひかり」には多糖類が多く、
それがエサになって善玉菌を増やす要因になっているらしい。

でも、それに増して「ゆめピリカ」が東京でも大変な評判で、全国的な話題になった。
つい最近の10年前20年前でも道米が日本一になるとは、思いもよらない夢のような話。
その夢を叶えた菊池さんは、すごい!と言わざるを得ない。
そして、その夢をどうして叶えられたか、次の場面で分かったのだ。

http://www.agri.hro.or.jp/kamikawa/kamikawa3.htm
(上川農業試験場HP)
菊池場長1.jpg

安達さんに誘われた目的の一つが「無限心庵」。
このような科学者でアカデミックな先生が、
地下の「無限心庵」を観て、果たしてどう思われるやら。
しかし、洞内に下りていたく感心された。

私の下手な説明も肯かれ、この世は科学だけでは計り知れない神の領域があり、
育種を研究されて、その生命の探求と信仰の敬虔さは相通じたに違いない。

アインシュタインを初め科学者には、熱心な信仰家が多い。
「万有引力の法則」などを発見したアイザック・ニュートンは、
「私は真理の大海を前にして、浜辺で貝を拾って遊んでいる子供にすぎない」
と述懐して、大自然の神秘に対しては何時も謙虚であった。

そんな菊池さんの姿勢に、大神様はお米の神様と相談して、
次々とお米の新種をプレゼントされたに違いない。
その道米は北海道の宝であり、
菊池さんも北海道の人財という隠れたお宝だったのだ。

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