●災害救助犬調教師が語る「150遺体からのメッセージ」
本来、生存者を探して救助するのが救助犬の役目。
しかし、今回の東日本大震災では残念ながら別のものになってしまった。
民間の災害救助犬・レイラとともに被災地の岩手・大船渡市に救助に行った
災害救助犬の調教師・村田忍さん(39)はこう話す。
レイラは生きている人を発見したら、大喜びでうれしそうに吠え、
早く見つけて!とばかりにこちらへ駆け寄ってきたりします。
亡くなっている場合は、私のほうを振り向いて哀しい目つきをするんです。
調教師はそんな犬の表情やしぐさを読み取っていくんです。
でもあのとき、レイラは次から次へと、ここにも、ここにも、と哀しい目をするんです。
「レイラ! そんなにあるわけないでしょ。もうろくしちゃったの? 真面目にやりなさい!」
って、私は3回も叱りつけてしまったくらいなんです。
私たちが1日歩いた場所だけでもレイラは150回も反応し、
私はそこに旗を立てて進んでいきました。
その旗の立っているところを、自衛隊員のかたがたが捜索していくのですが、
実際、旗を立てたところすべてから遺体が発見されたそうです。
一刻一秒でも急げば、生存者が発見できるかもしれない
と私たちは早く早くと前へ突き進んでいきました。
はっと振り返ると、自衛隊員ははるか後方にいました。
それを見たときに我に返り、ゾッとする思いでした。
遺体が多すぎて収容する作業がついてこられなかったのです。
(女性セブン2011年4月21日号)
「ご心配おかけ致しました。只今金ヶ崎の牧場に帰ってきました。
現場は阪神の時よりもさら酷く、犬たちが捜し出すのも間に合わないほど、
見渡す限り瓦礫と泥。
浜には折り重なった死体。
結局、生存者は捜し出せないまま、気仙沼→宮古と捜索。
1日30kmはゆうに歩きながらもあちこちの避難所に入れない
(皆に迷惑になるから)と外に繋がれたり、
放されたりした犬たち5匹を保護して被害の少ない盛岡近辺の
犬の訓練所に連れ帰りました。
レイラは(他の救助犬も皆)疲れのあまり腰がふらふらで、
立ち止まる度にドサッと 横になっていました。
ブーティーズの替えを持って行かなかったので
瓦礫の中を歩き続け脚を引きずっています。
年齢からいっても最後の大きな仕事、生存者は見つけることは出来ませんでしたが、
ゆっくり休ませてやりたいです。」
被災地の猫、レスキュー直後の様子。
被災地の犬、こんな子も避難所には入れてもらえない。
被災地の犬、飼い主を探している表情です。