●飯館村「人が住めるレベルではない」
京大助教らが現地調査(04/14 06:55)北海道新聞
福島第1原発事故による放射能汚染を独自に調査した京大原子炉実験所の今中哲二助教らによる報告会が13日、国会内で開かれた。今中氏は、同原発から北西に25〜45キロに位置する飯館村の一部について「人が住むのに適したレベルではない」と指摘、汚染の深刻な状況を訴えた。
今中氏は、3月28、29の両日、飯館村の130地点で空気中や土壌で放射線量を測定。原発から遠い同村北部の空気中の放射線量は1時間当たり3〜4マイクロシーベルトだったのに対し、原発に近い南部に行くと20マイクロシーベルト程度に上がったことを説明した。
同村曲田地区の土壌からはセシウム137を1平方メートル当たり2200キロベクレル検出し、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故による強制移住基準1480キロベクレルを超えた。
3カ月居続けた積算被ばく量は100ミリシーベルトに達するといい、「原子力安全委員会の防災指針で『避難』とされる50ミリシーベルトを超える」と危険性を述べた。
また、専門家の多くが「直ちに健康に影響はない」と安全性を強調していることについて「直ちに影響がないのは急性障害で、問題なのは(障害が後年に出る)晩発性のがん、白血病、遺伝的影響だ」と批判した。
報告会は、国際環境非政府組織(NGO)の「FoE Japan」などが主催した。
「IAEA避難基準の2倍 福島・飯館村の放射性物質」
(03/31 11:31、03/31 13:24 更新)
24日、小型の無人飛行機が撮影した福島第1原発。左上から3号機、建屋が残る2号機、1号機(エア・フォート・サービス提供)
【ウィーン共同】国際原子力機関(IAEA)のフローリー事務次長(原子力安全担当)は30日の記者会見で、福島第1原発の北西約40キロの、避難区域外にある福島県飯館村の土壌から検出された放射性物質の数値がIAEAの避難基準を上回ったと指摘、状況を見定めるよう日本側に伝えたと明らかにした。日本側は既に調査に動いているという。
IAEAは3月18日から26日にかけ、県内の複数の自治体で土壌中のセシウム137とヨウ素131が測定されたと説明。当局者によると、同村で検出された値は1平方メートル当たり200万ベクレルを超え「IAEA基準の2倍」に相当したが、初期評価のため今後の追加調査が必要だという。2倍となったのが、どちらの放射性物質かには言及していない。
日本の基準に基づき、村内の多くの地区は自主避難の対象外になっている。
飯館村の水道水からはこれまで、大人の基準を大きく上回る放射性物質が検出された。一方、家畜の世話のため、村にとどまる住民もいる。
IAEAは独自の基準を守るよう他国に求めたり指示したりする権限を持っておらず、当局者は日本の避難措置について「適切に機能している」と説明。フローリー氏も風雨や地形の影響で特に高い数値が検出された可能性があるとし、懸念が「地域全体に及ぶわけではない」と強調した。
「福島原発の廃炉、汚染除去に百年」
英科学誌が見解紹介(04/13 22:31)
コンクリートポンプ車(中央)で福島第1原発4号機の使用済み燃料プールから水を採取する作業=12日(東京電力提供)
英科学誌ネイチャーは13日までに、東京電力福島第1原発の廃炉や周辺の土地の汚染対策が終わるまでには、今後数十年、場合によっては100年を要するとの専門家の見解をまとめた記事(電子版)を発表した。
記事は1979年に米国で発生したスリーマイルアイランド(TMI)原発事故処理に加わった複数の専門家の見解に基づき、損傷しているとみられる燃料を含めた炉内の放射性物質の除去に長期間を要する上、原子炉の冷却が進んで中の状況を調べられるようになるまでも長い時間が必要になると指摘。
沸騰水型原子炉の特徴として、多数の配管や弁などが複雑に配置されていること、使用済み燃料を運び出すためのクレーンなどが爆発で破損していることなどによって、福島第1原発の廃炉は「TMIよりはるかに困難な作業になる」との意見も紹介。
TMIよりもはるかに大量の汚染水の処理が必要になることからも、86年に原子炉が爆発し、最終的な対策の除染の終了が2065年までかかるとされている旧ソ連の「チェルノブイリ原発と同様の除染対策が必要になるだろう」と指摘した。