●チェルノブイリ25年
東洋の詩聖と呼ばれた印度のR・タゴールと一緒に写っているのは、
誰でもない天才A・アインシュタインその人である。
今日のFUKUSIMAの惨状を彼は予測し得ただろうか。
皮肉にも、両極の対岸に位置するタゴールと同席した。
生命科学者・柳澤桂子女史は、
タゴールの『ギーターンジャリ』を引用して、
原子力の儚さ、怖さ、哀しさを説く。
相対性理論は果たして、人類を幸いにさせたか否か・・・・・・・
今、問われている。
『放射能はなぜこわいー生命科学の視点から』
(5月連休後に入荷します)
「人の世」
1、一日一日をていねいに、心をこめて生きること
2、お互いの人間存在の尊厳をみとめ合って
(できればいたわりと愛情をもって)生きること
3、それと自然との接触を怠らぬこと
結局のところ人の世の詩も幸せもこの他になく、
それ以外はすべて空しいことにすぎないのではないかな。
これは、医師であった細川宏氏が、
ガンでなくなる二十八日前に書き残されたものです。
これは細川氏だけでなく、多くの宗教家や修行者や思索者や
苦しみを生き抜いた人々が到達する共通の結論です。
すべての欲を捨て去ったときに、人間は人間にとって一番大切なものが
何であるかということを知るのです。
私たちはこの広大な宇宙の一点に生きています。
百五十億年という宇宙の歴史の一点に生きています。
時間的空間的に宇宙というスケールで
自分を見つめてみようではありませんか。
この宇宙の中で、人間とは自分とはいったい何なのでしょう。
四十億年の生命の歴史の中で、私とはいったい何なのでしょう。
人間はどこからきて、どこへいくのでしょう。
私はこの生涯に初めて足を踏みいれた刹那のことを何も知らなかった。
真夜中の森の蕾のように、私を広大な神秘の懐中に咲かせてくれたのは
何のちからであったのか。
(R・タゴール『ギーターンジャリ』より 渡邉照宏訳)
長いあとがき 柳澤桂子
チエルノブイリの原発事故に驚いて、
この小冊誌を書いてから、19年の歳月が流れた。
はじめは目に見えたガン患者は増えないのではないかと予想したが、
それは、ソ連(当時)が、拡散した放射能の値を偽っていたからであった。
2000年4月の事故14年目の追悼式で、ロシア副首相は、
事故当時現場処理に携わつた86万人の作業員のうち、
5万5千人以上が亡くなった事実をあきらかにした。
2005年には、ロシアの社会保険発展相が、この事故で健康を害した人は、
ロシアで145万人であると述べている。
2006年の4月現在、ロシア、ウクライナ、ベラルーシの健康被害者は、
700万人とされる。
なかでも、これらの国の子供たちの白血病と甲状腺障害は悲惨なものである。
また、事故後に生まれた18歳以下の子供たちのなかで、
体内被ばくによって健康を害している人は22万6000人いるという。
被害は年を経るにつれて大きくなるであろうし、
そのうちに肝臓ガンなどの晩発性のカン患者があらわれるであろう。・・・・・・(後・略)