●「 櫻 景 」
今日からGW。
でも、ちっとも心浮き立たない自分が居る。
おそらく、皆さんも同じに違いない。
あと2日で、5月。
五月(さつき)晴れというが、いささかも晴れようもない。
そんな処に、先月のお便りに「祈り」を書かれた土井女史。
今月は、その後を「帯」と題して、文を綴ってくださいました。
知性溢れ、情感豊かに書かれるその達文に驚くばかりです。
次号「帯」を楽しみに、その中の挿入歌「桜景」の前後を、
歌と共に、味わいたいと思います。
土井 茂子
「 帯 」
嗚呼 海よ
人はいったい何れほどを
彼方に許容してくださいと謂うのでしょう
数年来のことです。
日本列島に桜の季節が近づく頃になると決まって、
ひと月もふた月もの間、繰り返し聞く曲があります。
それは2002年のNHK連続テレビ小説の挿入歌で母より譲られたものでした。
この曲を、昨春は感謝の思いを込めて、
そして今年は ーこの国のかたちー を憶い、聴いています。
桜 景
歌:森公美子
春の兆し スピカ 胸に 突き刺さる
いつから やさしさを 忘れたのでしょう
花 さくら やまと 夢のまほろば
清く たおやかに けがれ知らず
それが あなたの故郷 わたしの国
夏の名残 デネブ 空に わすれもの
恥じらい つつましさ 人のゆかしさ
花 さくら やまと 夢のあとさき
豊かになるほど なぜ むなしい
まだ間に合う 今なら 我が古里(ふるさと)
秋のゆらぎ 北斗 変わらないものは
迷わぬ慈しみ 肌理(きめ)こまやかさ
花 さくら やまと もののあはれよ
はかなき命を 惜しむ 情け
忘れかけた あの日に さあ帰ろう
冬の和み リゲル 心あたためる
歴史を超えてゆく 折り目正しさ
花 さくら やまと 永遠(とわ)のまなざし
愛しあう限り 滅びは しない
それが あなたの故郷 わたしの国