●映画『100,000年の安全』
未来のみなさんへ
ここは21世紀に処分された放射性廃棄物の埋蔵場所です。
安全な所に保管する必要があります。
決して入らないでください。
放射性物質は危険です。
透明で、においもありません。
絶対に触れないで下さい。
地上に戻って、
我々より良い世界を作ってほしい。
近づかなければ安全です。
幸運を。
マイケル・マドセン
http://www.uplink.co.jp/100000/
緊急公開にあたって
本作品はフィンランドのオルキルオトに建設中の、原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場"オンカロ(隠された場所)"と呼ばれる施設に、世界で初めてカメラが潜入したドキュメンタリー作品です。
高レベル放射性廃棄物は安全な状態になるまで、10万年間かかると言われています。フィンランドでは、固い岩盤を掘削し地下500メートルにまるで地下都市のような巨大な施設を、自国の原発から出る放射性廃棄物の最終処分場として作る事を計画しています。現在の段階では正式に運用されるのは2020年を予定しています。
アップリンクでは、本来この作品を今秋に公開する予定でした。しかし、福島原発の放射能汚染の事故が起き、原発に関する知識を得る事を必要としている人が多いと思い、2011年4月2日から緊急公開する事にしました。
共同通信が震災後(26、27日)行った世論調査では、原発を「減らしていくべきだ」と「直ちに廃止」の合計が46・7%、「増設」と「現状維持」をの合計が46・5%とほぼ同数でした。この映画の配給会社の代表である僕の個人的意見としては、自分は科学を信じているので、原発を人間が完全にコントロールでき、放射性廃棄物を安全に処理する方法を確立しているならばという条件付きで原発はあってもいいと思います。ただし、それが不可能ならば、要するに現状ではそうですが、新たに原発は作るべきではないし、今ある原発は停止していき、節電と代替エネルギーの技術的方法を考えるべきだと思います。
本作では、安全になるまで10万年を要するという高レベル放射性廃棄物を、果たして10万年間も安全に人類が管理できるのかという問題を、フィンランドの最終処分場の当事者たちに問うています。
本来映画を公開する前にマスコミ向けの試写を行い、その際に配布する映画を解説したプレスシート、また観客に映画の理解を深めてもらうためのパンフレットなどを作りますが、それらはまだ準備できていません。今回は映画の上映を行いながら、メディア関係者や専門家に作品を観ていただき、作品解説の資料を作っていきたいと思っています。また、公開後になりますが、監督の来日も企画しているところです。なお、この映画の入場料の内、200円を東日本大震災の義援金として寄付致します。
アップリンクでの上映は既に上映を決めていた作品などもあり、当初は1日朝1回の上映ですが、調整ができ次第回数を増やしていきます。従って、客席数40人の劇場で上映するので大変込み合う事が予想されます。整理券は上映開始の30分前(4月2日は9時45分から)配布します。当初は席に限りがあり観客の皆さんには不便をかけるかもしれませんが、ロングラン公開を予定していますのでご了承ください。
浅井隆(アップリンク社長)
2011年3月30日