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2011年05月26日

●億・兆・そして京

                                    by 武田邦彦                              
すでに福島原発はあまり心配ないとか、
できるだけ被曝を少なくするように工夫してくださいなどと、
矛盾したことを書いているように感じておられる方からのお便りをいただきます.


実は、テレビなどであまり報道しないので、錯覚しがちなのですが、
今回の原発事故はかなり特別なのです.・・・

普通、「どこどこの原発から放射線漏れ!」と大々的に新聞が報じ、大騒ぎになり、
政府が調査団を派遣し、運転が止まり・・・
というような事件が起こるときに漏れる放射線量は、

(数億ベクレル=1万×1万)・・・1万が2つ 
なのです。

ところが、今度の福島原発で漏れた量は、
(数10京ベクレル=数10×1万×1万×1万×1万)・・・1万が四つ
で、普通の原発事故の「数10億倍」なのです。・・・

そして、今、漏れている量は

(1兆ベクレル=1万×1万×1万)・・・1万が3つ

ですから、普通の事故の1万倍です.
ですから「まだ大変な量が漏れている」ということになりますが、
3月下旬の量と比較すると、数10万分の1になりますので、
正反対に「たいした事はない」となります。


つまり、現在の状態は、

● 普通に比べれば、1万倍

● 3月に比べれば、数10万分の1
ということです。


ですから、「まだ福島原発からでているので、掃除をしてもムダなのではありませんか?」
という質問に対する答えは、
「普段ならそうなのですが、100000降り積もっているところに、
あと1から10ぐらいがふりつもり、
100001か100010になるだけ」と言うことです。

また3号機や4号機も不安定ですが、
私は若干の爆発が起きても、
今の1000倍ぐらいだろうと思います。
そうすると、

100000が101000になるだけですから、これもあまり注目すべきではなく、
むしろ最初の100000の方に注意を向ける
今、すでに降り積もっているものの方が重大)ということです。


ややこしいのですが、億、兆、京というのは1万倍ずつ違い、
いかに3月に飛び散った放射性物質が多かったか判ります.・・・


ところで、理解しにくいのは、普段「億ベクレル」で大騒ぎする政府、新聞、テレビなどが、
「京ベクレル」の規模になって、驚き、ビビって、
反対に「安全です」などと言ったからややこしいことになりました

これだけ、大きく言うことが変わると、戸惑うのは当然です.

また自治体や学校などで、「健康に影響はない」と言っている人も、
「京ベクレル規模で漏れた」ということをもう少し真剣に考えてください。

                            (平成23年5月20日 午後8時 執筆)


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