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2011年05月15日

●【小出裕章氏】メルトダウン1号機

福島第1原発:燃料の溶融、想像以上の速度で進行

東京電力福島第1原発1号機で、地震発生から16時間後の3月12日早朝には
メルトダウン(全炉心溶融)が起きていた可能性が強まった。
東電の解析では、燃料溶融は予想以上の速度で進行。
弁を開いて炉内の圧力を下げる「ベント」作業を始めた時には
燃料がすべて溶融していたことになり、今後、
ベントの決断や外部からの注水のタイミングが適切だったかが改めて問われる。
専門家は溶融した燃料が格納容器を損傷している可能性も指摘する。

小出裕章・京都大原子炉実験所助教は「電源喪失で原子炉が冷やせなくなれば、
早い時期に炉心溶融に至ることは想定できていたはずなのに、公表が遅い」
と指摘する。

東電は今回の解析で「圧力容器の損傷は大規模ではない」と推定しているが、
小出助教は「圧力容器は完全に破損し、溶け落ちた燃料が格納容器の底に穴を開け、
原子炉建屋の地下に大量の汚染水が漏れ出す原因になっている」と推定する。
「東電はこうしたデータを知りながら隠したのか。
いずれにしても、燃料の損傷が限定的だとの東電のこれまでの説明は完全に誤っており、
データ公表の仕方にも大きな問題がある」と批判した。

吉川栄和・京都大名誉教授(原子炉安全工学)も
「溶融した燃料の一部は格納容器に落ちているだろう」と指摘し、
東電の解析に否定的な見解を示した。
さらに「燃料は格納容器のクラック(損傷部)から水と一緒に漏れている可能性もある」と述べ、
地震の揺れや炉心溶融、3月12日午後の水素爆発、
余震などさまざまな原因で格納容器が損傷している可能性があるとした。

今後の工程への影響について吉川名誉教授は「初めに描いた絵と状況が異なり、
収束までの時期は確実に延びる」と説明。
長期的な影響についても「むき出しの燃料の回収は相当困難な作業になる。

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