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今朝の道新にまほろば自然農園・土大根抜きの記事が載った。
「んん・・・・・、グラサンのお兄ちゃん、また大根抜いてるな・・・・」
「何処かのトビ職人かいな?」
「いや、何処かの組のもんじゃない?」
「どっかで、見たことあるな・・・・」
「あぁ、あれだ!舎弟頭だよ。」
「あぁ、あのまほろば組のかよ・・・」
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(どっかで見た写真。まほろば組の組長と舎弟頭。
ちなみに、本人の名誉のために明かします。福田農場長でした)
「まほろばも、用心棒おくようにようになったんかいな・・」
「物騒な世の中だ。なんだい、畑まで盗っ人がくるんかい」
・・・・・・・・・・・
ああぁぁ・・・止みそうもないので止めます。
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大根も、世界中に、種類がわんさかとある。
ラデッシュもそうだし、桜島大根の太いのもそう、
聖護院の丸いの、それからあの細長い守口というのもある・・・
・・・・・きりがない。
しかし、日常的には、これも2種類に大別される。
白首と青首大根。
しかし現在、青首が主流だ。
それは、栽培しやすいのと食べやすいからだ。
白首は地下に沈もうとするし、
青首は上に上がろうとする。
だから栽培するには、どの位成長したか、一目で見当がつくというもの。
実際、お客様から、でかいの・・・いや、樽に入んないから中ぐらいの・・・・・・
いやいや、一人暮らしだから小さいの・・・・・・
と、まー、こんな具合で注文もさまざまである。
そんな時、それこそ青首のなりを見て抜けば、当り外れがなくて、
農家にとって、好都合なのだ。
昨日も、Sサイズを頼まれたから・・・・・と言って、百本近く抜いていた。
しかし、これもサービスで、本当は太く長くなるまで置いときたい所だ。
大きくなるほど、値が高くなる。
300円も違うのだ。(セコイな・・・・)
しかし、こうも言える。
種それぞれで成長率が違うので、適時がある。
欲をかいて、大きくすれば、
時期が過ぎて肥大し、トウ立ちが出て中にすが入るのだ。
ここの判断が難しい。
青首は字の如く、頭が青い。
だから、盛んな光合成が葉を通して、
実の部分まで糖化を進める。
つまり、大根にして甘くなる。
昔のように辛いばかりではなくなったのだ。
ある意味、大根の革命だった。
それまで白首が大半を占めていた。
三浦や練馬が有名だ。
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(これが、「宮重」。長いので先がくびれる)
その原種ともいえるのが今回の愛知原産「宮重大根」である。
以前、「共働学舎」から大根を仕入れていた時、
責任者の関口君が盛んに作っていたのが宮重だった。
細おもてで、長い。
つまり、漬け向けでもあるのだ。
長期熟成にはしなびて、しかも一本が長いともなれば、
商品化しやすい利点もある。
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(これが「耐病総太り」。今口にするほとんどがこれである)
しかし、これを更に効率化させ、全体的に太らせ、
さらに病気に強くしたい、と品種改良させたのが、
今の主流を占めている「耐病総太り」というやつである。
まほろばでも、一万二千本のほとんどを占める。
宮重は種の確保が難しく、わずか300本なのだ。
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昔、我が家の漬物大根風景はすごかった。
家の前に、それこそ前が見えなくなるまでの大根の山。
それを4斗樽に20本ほど漬け込むのだ。
その洗い作業も、半端でなく10人ほどが総動員。
小さい私も、かりだされたほどだ。
裏の畑に高い稲架(はさ)掛けならぬ大根掛けの太い杭を打ち、
やぐらを組んで、洗い大根を吊るすのだ。
子供心ながら、壮観であった。
丁度、ソ連で核実験が行われた時で、
「死の灰」が降って来るというニュースに、雨のたびに
大きなビニールを掛けたり外したりした思い出がある。
もう、50年も昔のことである。
そんな昔と言わず、ここ20年ばかり、
お客様で漬物を漬けるのが激減してしまった。
市場でも、4,5年ほど前から、土大根の入荷を止め、
場外のセリ風景も、全く陰をひそめてしまった。
寂しい限りだが、時流には逆らえない。
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(西岡さんの袋つめ作業、新人入社ですっかり農家になってしまった)
ここ札幌、西区西野は、老齢者が多くなり、
以前沢山買い物して下さったお得意様も子供さんも外に出て、
小家族で、沢山漬物もそう要らなくなった。
それと、マンション生活者が多くなって、
土大根を台所で洗えなくなってしまった。
洗い大根が圧倒的に多くなった訳だ。
しかし、漬物大根は発酵食品の大なる王者でもある。
これも、昔話になるが、食べ物が今ほど豊富でない頃、
来客のおもてなしは、ラーメン丼一杯に盛った大根とキャベツの切り漬けが定番だった。
寒い納屋やムロからとって来た丼漬物は氷がパリパリ張っていた。
そこに、醤油を垂らして、氷ごと漬物をほおばる。
そうすると口の中でシュワーと氷が解けながら、
大根とキャベツをばりばりと、音を鳴らしながら食べ、
後はお茶で暖めて、「これは、旨い!!」
と、なって一人でその丼一杯を平らげてしまうのだ、
(何だか、小泉武夫調になっているなーーーー)
今の私の漬物好きは、既にこの時形成されたのだ。
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(雑草と共生する大根たち)
ともあれ、今日も秋雨の降り頻る山里で、
みな懸命に大根抜きの重労働を続けている。
また、山水で洗うともなれば、手がかじかんで来て辛い。
食べるのは一瞬、作るのは膨大な時間がかかっている。
そして、人の手がかかっている。
小さな一皿の沢庵に、
どれほどの思いと汗が含まれているのかと思えば、
おいそれと飲み込めない。
噛み締めて、噛み締めて、
ゆっくりと、ゆっくりと
味合わねば・・・・・・・・・。
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1束(10本) L M S
土大根 ¥980 ¥880 ¥680
洗い大根 ¥1280 ¥1100 ¥880
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(一丁上がり!りっぱでしょ)
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(道新の星野記者と一緒にスナップ、パチリ!)