「愛犬チロリが教えてくれた命の尊厳」
11月 18th, 2013 at 16:06大木 トオル(国際セラピードッグ協会代表)
※『致知』2013年12月号
連載「致知随想」より
高度な訓練を受け、医療や介護の現場で
病に苦しむ人々に寄り添い、
サポートする「セラピードッグ」。
その日本第一号となった愛犬チロリが、
私の胸の中で息を引き取ったのは
もう7年も前のことになります。
私はチロリをはじめとして、
日本の動物愛護のあり方を問い直す取り組みに
20数年携わってきました。
そのきっかけは、約30年前にまで遡ります。
私の本職は、アメリカを拠点に活動する
ブルースシンガーですが、
1977年、ニューヨークの高齢者施設で活動する
セラピードッグの姿に感銘を受け、
その育成に携わり始めたのでした。
しかし、その頃に参加したある動物愛護団体の会で
私はこう言われたのです。
「日本には“犬猫のアウシュビッツ”がある。
いくら経済大国と呼ばれようと、我われは日本人を認めない」
バブル景気の絶頂期にあった1980年代の日本、
そして隆盛を迎えるペット産業。
しかし、その裏では飼い主に捨てられた
年間100万匹もの動物たちが殺処分されていたのです。
その命を守る法律も未整備でした。
動物たちは、いわば廃棄物のように扱われていたのです。
「あなたは有名なブルースシンガーだろう。
なぜ祖国の不正を糺すために闘わないんだ」
一介の歌手に何ができるのだろうと思いましたが、
1979年から始まる日本公演の際、
私は意を決し、殺処分を行う動物愛護センターを訪ねました。
そこで見た光景はまさに地獄でした。
犬や猫たちが次々とガス室に送られ、
のたうち回っている彼らを
容赦なく焼却炉に放り込んでいく……。
その衝撃の中、脳裏に甦ってきたのは
幼年時代に私の命を救ってくれた愛犬の姿でした。
* * *
大木氏の命を救ってくれたという
愛犬とのエピソード。
その後、日本初となるセラピードッグ・チロリは
いかにして誕生したのか。
そして、チロリが教えてくれた命の尊厳とはーー。
続きはぜひ『致知』12月号P94をご一読ください。