まほろばblog

「極限を生き抜く心の持ち方」

1月 18th, 2014 at 9:09

小野田寛郎(元陸軍少尉)

※『致知』2008年7月号
特集「不撓不屈」より

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・・・・ご冥福を祈ります。ありがとうございました。・・・・・・

30年間で発熱は2回でした。
それは仲間が負傷して、
介護疲れでちょっと出しただけです。

熱が出たところで、
医者も薬もないですから、
まずは健康でいることが大事です。

そして健康でいるには
頭をよく働かせなければダメです。

自分の頭で自分の体をコントロールする。
健康でないと思考さえ狂って、
消極的になったりします。

島を歩いていると、
何年も前の遺体に会うこともあるんです。

それを埋めながら、

「早く死んだほうが楽ですね」

と仲間に言われ、
本当にそうだなと思ったこともあります。

獣のような生活をして、
あと何年したらケリがつくか保証もないですし、
肉体的にもそういつまでも
戦い続けるわけにもいかない。

いずれはこの島で死ななきゃいけないと
覚悟しているので、
ついつい目の前のことに振り回され、

「それなら早く死んだほうが……」

と思ってしまう。

結局頭が働かなくなると、
目標とか目的意識が希薄になるんです。

――しかし、最終的にはそのお仲間にも
先立たれお一人になられましたよね。
たった一人の戦いはまた別のつらさがあったでしょう。

よく孤独感はなかったかと聞かれましたが、
僕は孤独なんていうことはないと思っていました。

22歳で島に入りましたが、
持っている知識がそもそも
いろいろな人から授かったものです。

すでに大きな恩恵があって
生きているのだから、
決して一人で生きているわけではないのです。

一人になったからといって
昔を懐かしんでは、
かえって気がめいるだけですから、
一人の利点、それを考えればいいんです。

一人のほうがこういう利点があるんだと、
それをフルに発揮するように考えていれば、
昔を懐かしんでいる暇もなかったです。

(中略)

自然塾の敷地には
「不撓不屈」と書かれた石碑があります。

僕は日本の子どもたちには、
一度目標を持ってことに立ち向かったら、
簡単に諦めない、執念深く、
しぶとく、くじけずに頑張ってほしい。

そして誇りを持って、
優しい日本人であってほしい。

その願いを込めて、
不撓不屈の文字を刻みました。

それは僕自身が貫いてきた人生の信条であり、
座右の銘でもあります。

 

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