成熟なんて退屈よ!『百歳の力』
6月 19th, 2014 at 12:42篠田桃紅さんといえば、私の若い頃、
凛とした風貌と容姿、颯爽とした出で立ちで、世界を股にかけた前衛書家・・・・・・。
何とも絵から抜け出たような方だなー、と思っていたが、
いつの間にか、互いに年を取り、
何と桃紅さん、100歳におなりになっていた。
しかし、年をめしても、当時と変わりなく孤高の道を歩んでおられる。
「人が敷いてくれた道を、
ゆっくり歩んて行けばいいというような一生は、
私の性格には合わないんだからしようがない。
私の前に道がないのは、
自分の性格のゆえの報い。
そう思って、受け入れて来ました。・・・・・」
と、一生独身を通し、己の欲するところを正直に生きる。
私が若い頃、前衛的な線描の軽い感じが、どうもと思っていたが、
今、拝見すると、研ぎ澄まされた表現の中に
年月の淘汰のみ存在する重さを感じた。
そこに、前衛が古典に変遷する時を、垣間見た思いだった。
語りの中に、捉われない自由な精神が、
自伝にありがちな自己喧伝になっていないことに、
真の前衛の精神を見た思いだ。
一読をお勧めする。
Posted by mahoroba,
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