ある老舗の閉店
1月 19th, 2015 at 17:01
「・・・・狸こうじの奥までも・・・・」
50年前、小学生の時、白黒TVにコマーシャルが6時から流れる。
狸小路商店街のCMで、その中に「中川ライター店」の宣伝が、画面に1,2カット出る。
それを楽しみに、田舎の少年は、TVに釘付けになっていた。
何ヶ月かに一度、札幌に出て、その店で、プラモデルや模型飛行機を買う。
大きなグライダーを天高く飛ばしたり、Uコンのエンジン機を作ったり、
当時、「中川ライター店」は、道内の少年たちの憧れの的でもあった。
それが、先日13日に閉店したのだ。
112年の歴史、明治、大正、昭和、平成を生き抜いて、少年の夢を育んで来た。
50年前の当時のまま、店の前も中もペンキが禿げ上がり、床は、土間のままなのだ。
こんなオンボロ店に、皆哀愁と郷愁を感じて、老年のおじいさん、中年のお兄さんが、
その別れを惜しんで、この何ヶ月間訪れた。
80歳代の仲買の会長たちが集う市場でも、その話で持ち切り、みな飛行少年だった。
実を言うと、私も懐かしさの余り、閉店当日訪れたが、店の外も中も押すな押すなの
人の波に、その人気ぶりに改めて驚いた。
ご主人が50歳で急逝したため、88歳のお父さんでは体力が持たないということで、
100年の老舗の幕を閉じたというが、まことに惜しまれる。
30周年を送ったまほろばでも、短いようで長く、
その4倍の歴史に対し、敬意を表して余りある。
幾多の戦争をも越え、少年たちの夢を育んだ中川さんの愛と徳は、
多くの人々の心から消えることはないでしょう。
ありがとうございました。
お疲れさまでした。