辻さん達と「スロービジネス」
5月 8th, 2017 at 17:47先月、横浜戸塚の「善了寺」で行われた
「スロービジネス」のフリートークで集まった多くの方々。
そのお寺が「ストローベール」藁と自然素材で建てられた
辻信一さんの実兄・大岩剛一さんが設計施工したもの。
その見事な出来栄えは息を呑み、中に入った佇まいと居心地の良さは格別であった。
また住職・成田智信師は浄土真宗に属するに関わらず、広く門戸を開け、
あらゆる宗旨宗派も拒まず、互いに手を取り合ってゆこうという大乗大和の精神。
辻さんたちとのスローライフの生き方に大いに共鳴して、スロービジネスも含め、
今後のお寺のあり方が全国的に注目されて、とても楽しみである。
まほろばのエリクサー一群の製品が、ご協力できれば、幸いこの上ない事です。
左から、辻信一、中村隆市、末吉里花、私、上野宗則各氏
今冬2月、店で急遽行われた『「スローライフ」から「小国寡民」へ』で
お話しくださった辻信一さんは、評論家、文化人類学者、環境運動家。
77年に北米に渡り、さまざまな職業に従事しながらカナダ、アメリカの諸大学で哲学、文化人類学を学ぶ。
87年に米・コーネル大学で人類学の博士号を取得。91年に帰国し、明治学院大学国際学部教授。
「スローライフ」を提唱し、「100万人のキャンドルナイト」呼びかけ人、
NGO「ナマケモノ倶楽部」世話人などを務める。
戸塚にある善了寺を拠点にcafe de la teraなどの啓蒙イベントを定期的に行っている。
デヴィット・スズキやサテッシュ・クマール、ヘレナ・ノーバーグ=ホッジなど
様々な環境活動家との交友関係があり、
アースデイなど各地の環境保護イベントに呼ばれて講演をしている。
著書・DVD多数。
■ 豊かさの撲滅に割り算を(『地球村通信』≪スペシャル対談≫2009年6月号から)
辻:僕は1952年生まれで、経済成長は当たり前の時代に育ちました。でも大人たちを見ていても、ああなりたいとか、あんなふうに生きたいとは思えなかったんです。24、5歳のときに日本を飛び出して海外を回りました。そこで僕が魅力を感じたのは先住民族や少数民族の人たち。文化的な根っこを持っていて幸せそうなんですよ。先進国では、そういった大事なものを手放して、マネーという価値観で、世界中を覆い尽くそうとしているのに。
高木:同感です。私はそれを、マトリックス社会と呼んでいます。全く価値のないマネーゲーム。私たちは様々な活動を通じて、経済成長の果てには幸せがないことを伝えていかなくてはと思います。
辻:僕は、アインシュタインの言葉を講演でよく使うんですが、「ある問題を引き起こしたのと同じマインドセット(意識や価値観)のままでは、その問題を解決することはできない」というんです。
高木:その通りです。同じマインドでは問題を解決できません。エコ商品に助成金をつけて売ろうとするのも違うし、便利快適を維持しながら、経済も上げながら、問題を解決しようなんて、全く違うんです。
辻:僕は「反貧困」という言葉にも違和感を感じます。問題なのは貧しさではなく、豊かさの方だと思うから。豊かさの幻想から脱することこそが大事だと。
高木:同感です!私がしたいのは、貧困の撲滅ではなく、豊かさの撲滅なんです。
辻:今までの社会は足し算ばかりやってきました。でも今、ぼくたちに必要なのは引き算です。引いてみるときに現れる楽しさや安らぎ、つまり本物の豊かさが、これから始まるんだと楽しみにしています。
高木:現状は、足し算というより掛け算です。だからこれからは、割り算が必要なんじゃないかなあ。
辻:なるほど。分かち合いも割り算ですしね。
高木:そう、それを一緒に伝えていきましょう。これからもよろしくお願いします。
あの有名な「カルロスさんのコーヒー」は、
初めて中村隆市さんが掘り起こした逸品で、日本のフェアトレードの草分け的存在。
55年福岡生まれ。㈱ウインドファーム代表。
20代から有機農業、環境運動に取り組み、87年フェアトレード事業を開始。
有機農業とフェアトレードの普及でブラジル・マッシャード市から名誉市民章受章
。90年からチェルノブイリ医療支援に関わり、原発問題に詳しく「東北あしたの森」代表。
ゆっくり堂 代表。中村さんのコメントを掲載します。
「有機コーヒーや紅茶をご愛飲いただいている皆様、
そして、有機農業やフェアトレード事業の重要性を理解し、
広めていただいている皆様に、心からのお礼を申し上げます。
皆様のおかげで、エクアドル、ブラジル、メキシコ、インドなどの有機農業者を支えるだけでなく、
農薬汚染や鉱山開発などによる環境破壊から生態系を守ることができています。
また、森林農法が広がることで、生物多様性の豊かな森が広がり、
生物種の絶滅や気候変動の防止につながっています。
弊社と提携しているコーヒー生産者には、
30年以上も前から有機栽培や森林農法の普及に取り組んできた方が多数おられます。
しかし、そうした努力にもかかわらず、地球全体の森林伐採とCO2排出量の削減は進まず、
気候変動による天候不順などで農作物に大きな被害を受けることが増える傾向にあります。
そうした天候不順は、コーヒーの生産量だけでなく品質にも影響を及ぼすことがありますが、
そのような生産者にとって辛く厳しいときこそ、
彼らのコーヒーをフェアトレード価格でしっかりと買い支えることが重要だと弊社では考えています。
生産者の皆さんは、そうした姿勢を持つウィンドファームに厚い信頼を寄せてくださっています。
丹精込めて栽培された有機コーヒーや紅茶のフェアトレードを通して、
「助け合いや分かち合いが幸せを広げていく」
というメッセージが多くの人に伝わることを願っています」
七か所の有機・森林農法の豆をブレンドした「レインボーコーヒー」が、
まほろばで、後々販売されます。お楽しみに。
世界・ふしぎ発見のミステリーハンターでお馴染みの末吉里花さんは、
米国生まれ。父親の金融アナリスト竹二郎とともに環境問題に取り組むなどして、
一般社団法人エシカルを立ち上げ、代表理事。
彼女のあいさつから。
「エシカルには「倫理的」という意味があり、人種や民族を問わず、
多くの人たちが「正しい」と認識している社会的な規範のことを指します。
人や社会、地球環境への配慮という観点からの「倫理的」という意味で、
一般社団法人エシカル協会は、モノを作る人、売る人、買う人
それぞれがエシカルな考え方に基づいて行動できるシステムづくりを構築して、
エシカルな考え方を世に広め、それを実践することが世の中にとって
素晴らしい結果を産みだすことを信じています。……」
農産物や商品の製造過程を追って、安全安心を確かめるまほろばの実践していることは、
エシカル運動の一環だと思います。
スローライフがあれば、スローデスもあるはずです。
父君の死によって、あの「おくりびと」として、
98年から死化粧用品等ご遺体ケアのための商品づくりを始められた上野宗則さん。
「人の死に立ち会うときなにができるか」をテーマに、医療従事者や葬祭事業者向けの講習会、
看取りに携わる「ナースのためのエンゼルメイク・アカデミア」をスタート。
「死を想うきっかけづくり」をモットーに、全国各地で講演活動を行う。
人の死を看取り、自分の死を見詰める。
よく死するものは、よく生きると、あり。