林謙三先生の幻書、復刻
5月 13th, 2017 at 16:47
先日、「林謙三『隋唐燕楽調研究』とその周辺」
と題された共編訳本が、著者の山寺三知さんから贈られて来た。
共に古琴研究家である奥様の美紀子さんとは夫唱婦随、
公私共に同じ道を歩まれる。
彫刻家であり、東洋古楽研究家でもある故林謙三先生。
私は、若き日に奈良のご自宅を訪問したのだった。
当時、正倉院の古楽器と楽譜を復元され、
「天平の音楽」を音盤にも刻まれた。
そのオリエンタルで古雅な調べに、胸がときめいたものだった。
あれから50年もの歳月が過ぎ去ってしまった。
その忘れかけていた記憶を、
山寺さんが掘り起こしてくださったのだ。
戦後、大陸に生きる最後の文人としての郭沫若の名は、
私の耳にも入っていた。
何と、この林先生が書かれた論文を、朋友
郭沫若が翻訳して大陸で上梓したのだった。
だが、あいにく戦争で原本が失われてしまっていたのだ。
それを山寺さんが、半世紀以上埋もれた名本を蘇らせたのだった。
林先生の多才多識に舌を巻き、
郭大人にはその造詣の深さに驚愕し、
そして、山寺さんの学識の豊かさと旺盛な探求心に感動するものです。
この専門書、なかなか我々が読みこなす事は難しいが。
しかし、名も知れぬところに、歴史上、
着実に学術の道が継承されていることを讃嘆したい。
おめでとうございます。
お疲れさまでした。
Posted by mahoroba,
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