無農薬リンゴは、簡単!?
10月 17th, 2020 at 6:48疾風(はやて)のように現れて、疾風のように去って行く「月光仮面」。
「発酵仮面」も何処からともなくやって来て、何時の間にか帰ってしまう(笑)。
小泉武夫先生が、例の如く突然やって来られました。
中玉トマトの摂り放題を、子供のようにはしゃいで取られ、
「夢のよう…、美味しい、美味しい」
と、ご満悦のご様子でした。
「無農薬でリンゴ出来たんですよ」と言うと、「どれ、どれ」と御覧になられ、
最後は、はいパチリで写真に納まりました。
2年目の今年も、無農薬で出来ました。ほとんど手を掛けないで出来ちゃうので、世間が騒ぐように、無農薬栽培は絶対不可能とか、「どうして言うのかしらん」と思うのです。春に0-1テストで施肥するだけで、全く何も手を掛けませんでした。(昨年書いた『りんごのゆめぢ』をご覧ください。内容を詳しく書いていますhttp://www.mahoroba-jp.net/…/top…/1_nouennikki201911.pdf)
一般には、日持ちや着色、芯喰い虫対策用に袋掛けするのですが、広いリンゴ園では何十万個もかけるなんて気の遠くな
る重労働です。それに、今の袋は雨が浸透しないワックス仕様の殺虫殺菌剤(キャプタンやTPNダコニール等)を染み込ませている袋なので防除にもなるようです。昔国道36号線の月寒沿いに見られた新聞紙の袋掛けの光景が懐かしく思われますが、さすが今、新聞紙袋は見かけません、安全ですが。
ここでは「ロケット弾」と呼んでいますが、隣近所の果物農家が使っているSS(ステレオスプレーヤ/果樹園に農薬を散布し、消毒する機械)を使うと、いかにも農薬掛けています、と見られます。散布機を肩にかけて、何町歩も回るのもこれも重労働で大変なことです。ひと昔の化学殺菌剤などない時代、みな肩に手押しポンプを背負って、食酢で除菌したりしていましたが、今はどうなんでしょう。有機JAS法では、残念ですが、酢・木酢、重曹などの安全な資材でも「特定農薬」とレッテルを付けてしまいます。
それとまた、JASが認めているものに、殺虫剤トモノールSなどのマシン油乳剤、鉱物油がありますね。これは故福岡正信翁の『わら一本の革命』かに書かれていましたが、さすが翁のミカン栽培にもカイガラムシ対策に、これだけは使われていたみたいです。でも、入荷するミカンは虫痕だらけですが。日本では、自然・有機農法家でも、許される農薬が他にもあるんですね。
果樹農家ともなれば、蔬菜農家とは別な悩みが増えます。まほろばでは、出来る範囲で、果樹を少しずつ手掛けて行きたいな、と思っていますが、農薬だけは……。今まで農薬の使い方も、手に取ったこともないんです。
初めて薬師寺に入門した50年前、高田好胤管長さんが、旧ソ連での講演旅行を終えられ、自坊で初めて接見した時、ソ連のお土産で小っちゃなリンゴを下さったんですね。それが妙に今でも思い出され、日本の富士などに比べ、余りにも貧弱なのに驚いたものでした。
今思えば、それは原種か何かの無農薬物だったんでしょうね。仁木農園のも、明治時代にアメリカ・ミズリー州マッカムから来たので「マッカム」と言う名前が付いた原種ですが、それで病気に強いのかもしれない。でも、軸が短いので落下しやすい、枝傷や枝跡(茶色のがそれです)が残りやすいので、みな手放して今作る人は居ません。
これは自画自賛ですが、「こんなに、リンゴって美味しいものか」と、今年のマッカムの味、この70年間で一番おいしかったリンゴと思いました。ここの名前を「マッカム・ファーム」にしたいぐらいです(笑)。数が僅かで、店頭で飾っているだけで、申し訳ありません。今年、台木に5本「穂接ぎ」しましたので、お待ちください。
今、まほろばで販売している「オーガニック・ストレート・ジュース」のクラウディ(無濾過)アップルジュース、ビックリするほどおいしくて、しかも安い(1L/780円(税別))。濃縮還元でない生汁の有機で、どうしてあれでやれるのかしらん、と思います。むそう商事さんにトルコの農園写真送ってもらいましたが、いかにも健康そうで、きっと品種改良で人の手を掛けていないのでしょうね。掛け過ぎると、虫も菌も群がって来るのでしょう。キット過ぎた甘さや肥大が、「異常!」との警告を告げているのかもしれません。湿気などの日本の気候風土の外的要因もあるのでしょうが、原種の持つパワーや自然性が、虫たちも納得しているのかもしれません。
何もかも、一度元に帰し、リセットし直せねばならない時代なのでしょうね。