まほろばblog

『松下幸之助 成功の秘伝75』から

2月 3rd, 2012 at 10:29

『松下幸之助 成功の秘伝75』(渡部昇一・著)より
 

 幼い頃から松下幸之助を
 尊敬の念をもって見つめ続けてきたという著者は
 かつて松下氏の依頼を受けて伝記を執筆し、
 氏の晩年には月に一度、
 直接話を聞いてその教えに触れたといいます。

 本書は松下氏と親交のあった著者が、
 自身の体験に基づく深みのある解釈を
 織り交ぜながら、氏の歩んだ生涯をたどり、
 氏が体得し実践してきた成功の秘伝を
 75のテーマに厳選したものです。

    *     *

   松下さんは数多くの苦労をしてきたが、
   苦労話を偉そうに話していない。
   「いまから見れば大変なようだが、
    当時としてはそんなでもなかった」
   という見方ができるのは、
   自分を客観視できる“大人”の証拠である。
                 ―― 第一章 大をなす者の条件 より

   若さの特権とは、時として
   最も危険な要素を無視して
   決断を下すところにある。
   若さと蛮勇がない人は、
   一業を興す人にはなれないのである。
                 ―― 第二章 少青年期をいかに過ごすか より

   本物の商売人には
   お客さんを喜ばせたいという
   本能が備わっている。
   徹底的に相手側を喜ばせたいという気持ちが
   なければ、商売は絶対にうまくいかない。
                 ―― 第三章 商売の心得 より 

   どんな貴重なものでも量を多くすれば、
   ただに等しい価値をもって
   提供することができる。
   そうすれば貧乏から生ずるあらゆる悩みは
   除かれていく――これが松下さんの得た悟りであった。
                 ―― 第四章 経営とは何かより

  
   独立した商売人としての松下さんの最初の成功は、
   頑張りつつ柔軟に転換したというところに理由があった。
   事業家は頑張らなくてはいけない。
   しかし、固執してはいけないのである。
                 ―― 第五章 経営者の資質 より

    *     *

 人生の指針となるものから、
 事業経営に関する幅広いテーマについて、
 具体的なエピソードを紹介しながら、
 松下氏の生き方、考え方に迫っていきます。

 その中でも、氏が自転車で
 品物を運んでいた際に自動車に跳ね飛ばされ、
 走ってきた電車に危うく轢かれそうになる
 という大事故に遭ったときの話は印象的です。

 氏は命の危険にさらされながらも、
 大した怪我を負わなかったことから、
 かえって自分は強い運の持ち主であると
 信じるようになったといいます。

 また、松下氏が両親から受けた影響や
 丁稚小僧時代の実体験の数々は、
 その後の大経営者・松下幸之助の
 人生観、仕事観のベースを明らかにしており、
 一読の価値ありです。

 どのようにして「経営の神様」、
 松下幸之助は生まれたのか。
 
 本書には「成功するための秘伝」が
 多岐にわたって紹介され、
 人生や仕事に活かすヒントに溢れています。
 自信をもっておすすめする一冊です。

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