「東の光」続々と
2月 14th, 2012 at 18:19農園を手伝っていて下さった竹縄さんが
畢生の句集「東の光」を編んでから11年の歳月が流れた。
その後、毎年溢れる珠玉の俳句は付録Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと増刷され、
さらに昨年紡がれた句付きの帯が巻かれ、
今年、友の画をカードとして新作が綴られている。
汲めど尽きせぬ詩情は、生涯涸れる事がないのでしょう。
(句集「東の光」 ¥1.500 まほろば取り扱い)
「東 雲」 竹縄 律子
戻らざるチェルノブイリや十月耒
眼鏡拭き言葉失ふ秋の道
福島の次世代如何に秋曇る(2011.10.15)
終の地を離るものかは秋の風
時すでに世界の俳句秋の空
日溜まりに裏返す服ほどく秋
はなむしとせせこましきやあきのそら
薪ためて嫌ひて戻らぬ女道
さばさばとしてぱぱもよき冬仕度
芸術の秋や終活すすむ足
秋深く世界の変はる時を待つ
阿波の三代目同志の帯の夏
一巻は第二芸術ならず 夏
故郷の夏「交差点」出す友のゐて
ばば虎が天女と言えず喉仏
もう本に使えぬ暮らし大根買ふ
日を背に縄の目締めて懸大根
猿のごと素足で枝切る秋日中
疲れただ動いてとる秋ワインのむ
松手入れして緑濃く秋日受く
まことのほか俳諧なし筆納め(2011.10.31)
背骨なきTPP論毛糸編む
食の変代謝を乱す震災忌
編むしごと待つあそびして根雪前
日は少し長くなりつつ十二月
俳諧に四道を通す雪の街
ローカルの礎揺るがぬ雪の街
年の内世界に価値を問ふかぎり(2011.12.6)
呼吸浅き師走の饒舌みな流す
通過地に戻ることなき雪の道
極月の天女の服で平和待つ
団欒のノート新たに年の内
熊楠の棟の花に逢ひにけり
ブータンの空青く澄み換気閉づ
会寧に送る一心春を待つ
姑よりの雪の結晶ペンダント
明け際の夫の笑顔や冬至耒る
花は夫実は人類に大掃除(2011.12.24)
手作りの道をすすめる初句会
みな病めば涸れたる泪豪雪期
想像のたよりなき山一月尽
生かし合ふ二月の陽差し待つ校正
廻し読む顔と手と足日脚伸ぶ(2012.131)
初句会のうしの正夢師を離る
名のままに自立の叶ふ神の旅
「まほろば」の油の進化麻になる
護摩焚きの寺いっぱいの節分会
産直の荷に積む一書震災忌
眠る山豆乳パーティみそ作り(2012.2.5)