まほろばblog

真夜中の火の番兵

3月 10th, 2012 at 17:26

ここ数年、業務用やリハビッシュ用などで、エリクサーのセラミックを焼く頻度が増えた。

焼成が始まると、夜中に2,3回起きて、炉の具合を見て、火を入れたり、止めたりする。

早朝、市場にも行かねばならぬので、その1週間は、体がしんどく、朦朧としている。

特に、還暦を過ぎての焼成は身に応えて、回復するのに長引く。

去年辺りから、上の息子が見真似で手伝うようになり、徹夜で火の番をする。

夜中、家内が何度も起されて0-1テストをするので、彼女も大変だ。

そこで、私は急に楽になって、高根のイビキである。

ラクチン、ラクチン、とばかり、最近は怠けている。

これ以上に、大変なのが、昨年暮れに伺った石孫本店さん。

炭で暖をとる昔ながらの室で、その温度具合を見ては、麹板を上に下にと取り替える。

それをやるのは、社員を帰らせた後の、裕子社長とお嬢さんの二人の仕事だ。

これは何週間も続くので、相当しんどいはずだ。

その記録帳を見せて頂いた時、焼成小屋の温度や時間管理と同じなんだな、と妙に親近感を持った。

今は、みなコンピューター管理で、自ら起きて麹を管理する所なんかは少ない。

でも石孫さんは、頑として蔵を近代化にしない。

手仕事、手作りを貫く。

まほろばの生産者は、みなこんな哲学を持って生き抜いて来た。

五体の感性を大事にして、これからも小さく少なく生きて行こうと思う。

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