「イレブンの心得」
8月 2nd, 2012 at 11:54佐々木則夫 (サッカー日本女子代表監督)
『致知』2012年3月号
特集「常に前進」より
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私は結構ずぼらな性格なものですから、
自分自身をチェックする項目として
「11(イレブン)の心得」というものをつくっているんです。
「1、責任
2、情熱
3、誠実さ
4、忍耐
5、論理的分析思考
6、適応能力
7、勇気
8、知識
9、謙虚さ
10、パーソナリティー
11、コミュニケーション」
の11項目で、これらのうち1項目でもゼロ、
もしくはゼロに近い値があれば、
その人に指導者の資質はないと考えています。
僕の部屋にもこの項目が全部紙に書いて張ってありますが、
キャンプに行った時とか、次のトレーニングのことを考える時、
あの選手と話した時に俺の対応が横柄だったなとか、
フォローがなかったなといったことを一つひとつチェックするんです。
この解釈の仕方も皆さんとは少し異なるかもしれませんが、
例えば「責任」というのは僕個人の狭い範囲ではなく、
自分が日本の女子サッカーの将来を担っているのだという意味合いです。
また、代表選手については、僕がいつも選抜をしているんですが、
その時のキャンプの状態を見て、
次は選ばれるか選ばれないかという緊迫した状況の中で
選手はやっているのに、僕の背中に「情熱」が
感じられなかったらよくないだろうと。
こういうチェックを一つひとつ自分でしていかないと、
ずぼらな僕はつい流されていってしまいますし、
スタッフも逐一
「監督、きょうは全然情熱なかったですよ」
なんて言わないと思うんです(笑)。
ただ、指導をする時にあんまりこのことばかり考えていたら
動きが取りづらいので、選手の皆には自分の中の、
ある一線については予め伝えてあるんですよ。
例えば総務の子が皆に何かを伝達しているのに、
返事をしていないなんて時には、
その一線から出ているので僕は叱りますね。
トレーニングでも、失敗を恐れて
全然チャレンジしていないような子がいたら、
やはりガツンと叱る。
その時に
「あの子、なんで則さんに怒られたか分かる?
ミスを怖がって自分のプレーを全然してないからよ」
というふうに、誰が見てもその基準が分かるようには
なるべくしているつもりです。