まほろばblog

「to do goodの前に、to be good」

9月 27th, 2012 at 14:58

             牛尾治朗(ウシオ電機会長)

                『致知』2012年10月号
                 特集「心を高める 運命を伸ばす」より

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  大変有り難いことに、私の家は祖父の代より
  安岡正篤先生と親交があり、父は師友会の神戸の責任者をしていた。

 そのため安岡先生が関西にいらっしゃる時は
 私の家が定宿になっていて、幼い頃からお会いする機会に恵まれた。

 大学四年になり、私は海外で仕事をして
 見聞を広めたいという思いから、
 就職先には海外支店の多かった
 東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)を選んだ。

 しかしある時、
「最終的に就職を決める前に安岡先生のお話を伺うように」
 と父に言われ、私は安岡先生をお訪ねしたことがある。

 私が今後の抱負をひとしきり述べると、
 安岡先生は私を見つめながら次のようにおっしゃった。

「to do goodを考える前に、
 to be goodを目指しなさい」

 この一言は衝撃だった。

 それまで私は、あれをしたい、これをしたいと、
「to do good」ばかりを考えていた。

 そうではなく、「to be good」。

 つまり、よりよくあろうと自分を修める。
 その軸がしっかりしていなければ何もできないし、
 何者にもなり得ないのだと痛感させられた。

 それ以来、私は事あるごとに、
「to do goodの前に、to be good」と反芻し、
 自身を戒めてきた。

 今日なんとか格好のつく生き方ができているのは、
 人間としてのあり方の根本を
 安岡先生にご教授いただいた賜物であろう。

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