まほろばblog

『望郷 ~二つの国 二つの愛に生きて~』

11月 2nd, 2012 at 10:06

以前、ドキュメントで蜂谷さんの劇的な半生を観て、

感動というより激しい衝撃を受けました。

こんな凄まじい人生があるのだろうか。

こんな深い人間愛と信頼があるのだろうか。

その一端が垣間見れるロシア人妻だった方からの手紙を・・・・・

新書、私も是非読みたいと思います。

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想像を絶する苦難を生き抜いた闘争記

  『望郷 ~二つの国 二つの愛に生きて~』

    蜂谷 彌三郎

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◆ クラウディアからの手紙

    *     * 

 一切の責任は戦争にあるのです。

 私は、心からあなたを理解しておりました。
 ご両親や弟妹、たった生後1年あまりで別れた
 娘さんや奥さんがいる祖国を、恋しく思うあなたの心のうちを……。

 私たちは、こまごまとしたそのすべてを思い浮かべて、
 涙とともにいつも思い出話は尽きませんでした。
 食事の時間も忘れて身を砕くようにして、
 ただ一心不乱に働きましたね。

 そして、長い年月が流れました。
 私たちはようやく、その人たちが健在であることを知ったのでした。
 娘さんやお孫さんたち、
 それに年老いた奥さんが一途にあなたの帰りを待ち焦がれていることを……。

 今、年老いたあなたが多くの病を抱えて、
 一切が失われたようだった祖国へやっと帰っていくのです。
 奥さんや娘さん、お孫さんたち、
 弟妹、友人たちが待っている祖国へと……。

         *     * 

 終戦直後に身に覚えのないスパイ容疑でソ連軍に連行されてから、
 51年に及ぶ抑留生活を送られた蜂谷彌三郎氏。

 そんな蜂谷氏を支え続けたのが、この手紙の主である
 ロシア人女性・クラウディアさんでした。

 そして日本を離れてから51年目に訪れた
 日本への帰国の機会。

 後ろ髪を引かれる思いでロシアを後にする蜂谷氏に
 手渡されたのがこの手紙でした。

 手紙はさらにこう続きます。

        *     * 

 もはや私たちは、再び会うことはないでしょう。
 これも私たちの運命なのです。

 他人の不幸の上に私だけの幸福を築き上げることは、
 私にはどうしてもできません。

 あなたが再び肉親の愛情に包まれて、
 祖国にいるという嬉しい思いで、私は生きていきます。

 私のことは心配しないでください。
 私は自分の祖国に残って生きていきます。
 私は孤児です。
 ですから、私は忍耐強く、勇敢に生きていきます。

 私たちは、このように運命づけられていたのでした。
 37年あまりの年月をあなたと共に暮らせたこと、
 捧げた愛が無駄ではなかったこと、
 私はこの喜びで生きていきます。

 涙を見せずに、お別れしましょう。
 過去において、もし私に何か不十分なことがあったとしても、
 あなたは一切を許してくださると思います。
 あなただけは、この私を理解してくださると信じています。
 私が誠実な妻であり、心からの友であったことを……。

 あなたたちの限りない幸せと長寿を、
 心から祈り続けることをお許しください。

 1997年3月21日 クラウディアより

 親愛なる彌三郎さんへ

    *     *

 苛酷な運命に翻弄(ほんろう)されながらも、
 激動の人生を生き抜かれた蜂谷さんの人生を支えたのは、
 クラウディアさんの無私の愛と、日本に対する望郷の念でした。

 そしてもう一人、蜂谷氏を思い続けていたのが
 娘とともに長年にわたって帰国を待ち続けた
 妻・久子さんでした。
 

 祖国とは何か、運命とは何か、
 愛とは何かを教えてくれる蜂谷氏の波乱の生涯が
 壮大なスケールで描かれた感動の一冊。
 ぜひ、お読みください。

 再来年には本書をベースにして、
 映画化が予定されています。

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 <目次>
 
プロローグ すべてはこうして始まった

第一章 私の原点 母への誓い

第二章 運命の激流 スパイの汚名を着せられて

第三章 望郷の思い シベリアおろしの夜は更けて

第四章 クラウディア 深い愛に包まれて

第五章 帰国 愛する祖国へ

あとがき

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 ● 再来年、映画化予定!

 『望郷』 1,575円(税込) 蜂谷彌三郎・著
 → http://shop.chichi.co.jp/item_detail.command?item_cd=977

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