「ウメボシマンは禁止だぞ」
11月 3rd, 2012 at 8:56平 光雄(小学校教諭)
『致知』2012年11月号
特集「一念、道を拓く」より
http://www.chichi.co.jp/monthly/201211_index.html
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まずはこの一枚の紙芝居をご覧ください。
http://ameblo.jp/otegami-fan/
真ん中には小さな赤丸が描かれており、
その中には中心部分に向いた矢印が描かれています。
実はこの赤丸は「自分」を表したもので、
矢印が自分にばかり向いていることから、
他人のために何かをしてあげようという
奉仕の心のない人間をイメージ化したものなのです。
たまたま最初にこれを見た子供たちから、
「ウメボシだ」という声が上がったことから、
私はこういう人間のことを「ウメボシマン」と呼ぶことにしました。
そして、もう一枚の絵には小さな赤丸から外に向かって
いっぱい矢印を書き込んであります。
成長というのは、矢印を外に向けて発していき、
リンゴとかスイカくらいに広がっていくことなんだよと、教えるのです。
奉仕の心や人に尽くすことが大事であることは誰もが知っていても、
それが自然にはなかなか出てこないものです。
ところがこの紙芝居を見せることで、
自分のことばかり考えている人間を
イメージとして捉えることができるのです。
例えば自分勝手な行動をとる子供に、
「あいつはウメボシマンだ」と言うだけで、
大事な価値観を教えることができる。
考えてみてください。
同じことを子供に伝えようとして、片や
「ウメボシマンは禁止だぞ」
と言うのと
「こら、自分のことばかり考えて行動するな」
と言うのとではだいぶ違うでしょう。
後者のようなことを何度も言われると
説教臭くて本人も嫌になってしまいますが、
前者であれば笑って受け入れることができるのだから不思議なものです。
そしてこういった話が契機となって、
人のお世話をしてあげられるようになったり、
自分のゴミではなくても拾って捨てられる子供が
出てくるようになっていくのです。