まほろばblog

「いまがその時、その時がいま」

11月 12th, 2012 at 8:43

           外尾 悦郎 (サグラダ・ファミリア主任彫刻家)

                『致知』2012年12月号
                 特集「大人の幸福論」より

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【記者:スペインへ移住されてから今年で34年目になるそうですね】

はい。私自身の気持ちとしては昔から何も変わっていませんが、
ただはっきり言えるのは、34年もあそこで
仕事ができるとは一度も思わなかったということ。

いつもいつも「これが最後の仕事だ」と思って取り組んできました。

【記者:いまだにそうなのですか】

はい。私は長らくサグラダ・ファミリアの職員ではなく、
一回一回、契約で仕事をする請負の彫刻家でした。
教会を納得させる作品ができなければ
契約を切られる可能性がある。

命懸けという言葉は悲壮感があって
あまり好きではありませんが、
でも私自身としては常に命懸け。

というのも命懸けでなければ面白い仕事はできないからです。

ただ本来は生きているということ自体、
命懸けだと思うんです。

戦争の真っただ中で明日の命も知れない人が、
いま自分は生きていると感じる。
病で余命を宣告された人が、
きょうこの瞬間に最も生きていると感じる。

つまり、死に近い人ほど生きていることを
強く感じるわけで、要は死んでもこの仕事を
やり遂げる覚悟があるかどうかだと思うんです。

この34年間、思い返せばいろいろなことがありましたが、
私がいつも自分自身に言い聞かせてきた言葉がありましてね。

「いまがその時、その時がいま」

というんですが、本当にやりたいと思っていることが
いつか来るだろう、その瞬間に大事な時が来るだろうと
思っていても、いま真剣に目の前のことを
やらない人には決して訪れない。

憧れているその瞬間こそ、実はいまであり、
だからこそ常に真剣に、命懸けで生きなければ
いけないと思うんです。

……外尾氏はなぜサグラダ・ファミリア教会の建設に
携わることになったのか?
その聖堂の建設に携わる中で知ったガウディの思いとは?

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