精いっぱい生きよう
1月 10th, 2013 at 10:19臨済宗円覚寺派管長・横田南嶺氏の修身論
『致知』2013年2月号
特集テーマ「修身」より
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◆ 人間のいのちというのは
一代限りではないというのは真理だと思います。
何代ものいのちを経て、いまがあるのだろうと思うのです。
◆ すべてはこの大自然の中にあるということを、
いろいろな経験をしながら、
なるほど、なるほどと思い知らされていく。
すべてはそういう過程にしかすぎないと思いますし、
大悟といっても、
大自然を飛び越えるようなことは別にございません。
己のちっぽけなこと、弱さに気づくことです。
◆ 自分の儲けばかり追求する人は大した商売人ではないし、
すぐにうまい話に引っかかったりします。
禅では魔境に落ちるといいますが、
その程度のことだと私は思います。
しかし、他人様のお役に立ちたい、
世の中のために何か尽くしたいと思って商いをする人は、
大きな仕事ができます。
◆ まず生まれたことの不思議に手を合わせましょう。
いま生きていることに感謝をしましょう。
そして、いまこうして
この場で巡り会ったことに手を合わせましょう。
◆ 松原泰道先生に、私は厚かましくも色紙を持っていきまして、
「仏教の教えを一言で言い表す言葉を書いてください」
とお願いしたのです。
泰道先生は嫌な顔もせずにこう書いてくださったのです。
「花が咲いている/精いっぱい咲いている
私たちも/精いっぱい生きよう」