「学校給食に命を吹き込む」
2月 21st, 2013 at 10:21
佐々木 十美 (管理栄養士)
『致知』2013年3月号
特集「生き方」より
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【記者:毎日の給食にはどのような思いを込めてこられたのですか?】
先ほども申しましたが、子供たちに
食材の本当の味を覚えてほしいというのが一番の思いですね。
大人になった時にどんな食材を選ぶか、
どんなお店を選んで何を食べるかを決めるのは
学校給食の経験だと思っているんです。
本当の味ですから魚は骨が入ったものを出しますし、
辛口のカレーも出します。
「食べやすいものを」と言う方もいますが、
決して子供に媚びることはしません。
それで残すことがあっても切り方や味付けを変えて
何度でも出します。
そのことによって子供たちの味覚は磨かれていくんです。
使う野菜にも調味料にも徹底してこだわります。
通年で使うものはタマネギ、ニンジンなど数種類に限定し、
キュウリは夏場のみ、カボチャは冬至を過ぎたら出しません。
旬でないものを食べさせることには違和感があるし、
冬場にトマトやキュウリなど
体を冷やす食材をあえて使う必要もない。
【記者:自ら農家に収穫に行かれることもあるそうですね】
同じ環境で育ったものを
体が一番喜ぶという思いがありますから、
旬のものは極力地元産を使って、
その美味しさを子供たちに伝えたいと思っています。
それでも食材全体からすると
三、四割といったところでしょうか。
限られた予算でやり繰りするのも大変なのですが、
ある時「杏がいくらでもなっているからあげるよ」
と言われて伺ったら、屋根の上だったことがあるんです。
登って収穫して天日干しで杏漬けにしましたけれども、
仕事のためなら屋根にも木にも登ります(笑)。
食材について申し添えておくと、
私たちは挽き肉も最初から自分で作るんです。
数年前、北海道の食肉会社の挽き肉偽造事件が起きましたね。
北海道教育委員会のほうから調査に来られましたが、
うちは一切使っていませんから、
まったく問題になりませんでした。
私はプロとして仕事に責任を持っているし、
何があっても揺るがない姿勢で四十年間やってきたんです。
何かあるとすぐ人のせいにしたくなるでしょう。
誰かがこう言いました、ああ言いましたって。
だけど仕事はすべて自分の責任なんです。
真剣勝負と申し上げたように、
いつ辞表を出してもいいという覚悟でいました。
だから私は怖いものなしです。
保護者や担任の先生がいようと
子供たちがいい加減な食べ方をしていたら、
本気で怒りますから(笑)。
(略)
よく言われます。
「給食ごときになんでそんなに一所懸命なんだ」って。
だけど、私は自分で納得するまで働かないと
仕事をしたことにはならないと思って生きてきました。
Posted by mahoroba,
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