「奪い合えば足りず、分かち合えば余る」
5月 22nd, 2013 at 8:51 浅利 妙峰(糀屋本店)
『致知』2013年6月号
特集「一灯照隅」より
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【記者:塩糀を現代の料理にアレンジされたところも、
広く受け入れられた要因の一つでしょうね】
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私は「温故知新」という言葉が好きなのですが、
真理というものは何千年も何万年も前から
変わらず未来永劫に存している。
それをどう磨き出すかは
現代に生きる私たちに委ねられています。
糀は日本の食文化の根幹にありますが、
味噌や醤油をもう一度各家庭で手づくりしましょう、
というのは無理があります。
味噌や醤油は一年かかりますからね。
でも、塩糀は一週間あればつくれます。
簡単で、しかも料理はおいしい。
そういう点も、塩糀が現代社会のニーズに
合っているところだと思います。
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【記者:塩糀を蘇らせた立役者ですが、
浅利さんは商標権を一切取らなかったそうですね】
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熱心に勧めてくれる人もあったのですが、
何もエジソンが電球をつくったような大発明ではなく、
たまたま文献の中から見つけ使い方をアレンジしただけ、
「塩糀」はもともと日本の食文化の中にあったものです。
また、糀菌が育つのは自然の作用です。
私たちも作り手として懸命に関わっています。
糀は人智を超えた力でつくられるもので、
それを一人の人間が勝手に取り扱うべきではないと。
現実的に考えても、うち一軒だけでは
ここまで広がらなかったでしょう。
大手の食品メーカーさんが参入されたから日本中に浸透し、
定着したと思います。
「奪い合えば足りず、分かち合えば余る」
といいますが、一人勝ちしようとすると、
絶対に長続きしません。
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【記者:いま全国の糀屋さんを訪ねて料理教室を開催し、
応援しているのも、そういうお考えからですか】
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そうです。また、長い歴史の中で、
うちの先祖が助けられたこともあるでしょうし、
まだ見ぬ未来の子孫がどなたかに助けられるかもしれない。
お互い助け合う中で生きている。
情けは人のためならずの言葉のとおり、
善の種を蒔けば、どこかで
善の花が咲くことを信じていますし、実践しています。
Posted by mahoroba,
in 人生論