エリクサー誕生物語

 しかし、現代では世界中の海も湖も河も化学物質で汚染され、生命の食物連鎖は断ち切られ、万物は乖離し、種の絶滅も後を絶たない。部分の死は全体の死へと繋がる。今、地球という大循環の浄水機能が悲鳴を上げているのだ。生命の連鎖は水と共にあり、水を甦らせることが生命の蘇生に連なる。その危機意識から、水を無垢で強靭なエネルギーを持った太古の生命体、全てを生み育てた母なる水「母水」に帰したい、との願いを込め、 「母水」という中心に向い、ひたすら心を凝集させていった。 20年間培って来た独自の0-1テストを羅針盤にして。

 
 入手出来うる限りのあらゆる鉱物から動植物にいたる素材を世界中から収集し、選別と配合を重ねていった。それは未知の原野に道をつけるような作業だった。 山野に分け入って野草や鉱石を採取したり、古代の遺伝子を保持する原種を取り寄せたり、創生期の情報を内蔵する原石を集めたり、自ら自然農法で野菜やハーブを作ったり、ヒマラヤ山頂近くに蔵する岩塩を入れたり、月の石を借りて水に写したり、天体の星座の波動を入れたエッセンスを作ったり、原初的なエネルギーを持った素材七百種類を厳選し、絶妙にバランスさせていった。
   しかし、バランスの基準は何処にもない。基準は天の秩序と生理であり、全一なる生命が何を望んでいるかであった。 「生命とは全体であり、部分の集合ではない。多様にして多次元、流動的な統一体である」。この生命哲学を信念として何処にも偏る事のないよう設計していった。宇宙的スケールの複雑な材料と工程に、何ヶ月にもわたり家に閉じこもって気の遠くなるほど0-1テストを繰り返して行った。
 


 濾材設計とセラミック焼成も、とても人まかせに外注出来るものではなかった。何の焼成技術も経験もないまま電気炉を購入し、自ら0-1テストの命ずるに従い、独創的焼成法で一週間寝ずの番をして焼き上げた。常に一なる生命「母水」をキーワードに、森羅万象生きとし生ける物に祈って焼いた。混沌にして全一なる、カオスセラミックス、0‐1セラミックスは完成し、「エリクサー」はここに誕生した。

 
   
   
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