久保田 カヨ子 (脳研工房代表取締役)
『致知』2009年8月号
連載「感奮興起」より
http://www.chichi.co.jp/monthly/200908_pickup.html#pick2
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【記者:脳の発達に着目した乳幼児教育に取り組まれたきっかけは?】
自分の子供をよく育てたいからですよ。
親っていうのはそういうところから発想しないと、
いい子はつくれません。
うちは旦那(久保田競<きそう>氏、大脳生理学者)の研究の関係で、
家には脳科学の本がありましたから、
自分で読んで脳について勉強しました。
【記者:ということは、独学ですか?】
独学と、そこからおばあちゃん、お母さん、おばちゃんから聞いて、
日本に昔から伝わってきた育児法が脳の発達とどう関連しているのか。
あるいはもっと効果的に脳の発達を促すにはどうしたらいいか、
ということを考えていったの。
【記者:具体的にお教えください】
一番重要なのは前頭連合野(ぜんとうれんごうや)です。
ちょうどおでこの裏側にあって、情動のコントロールや、
論理的な判断、将来の予測や計画の立案を行うのが、
この部分。
高度な判断を行って、人間の複雑な感情に関わり、
恥ずかしさや尊敬する心を想起させる一方、
感情面だけでなく、論理性や計画といった
高度な判断を司るため、
「人間らしさ」の源泉の部分と言っていいでしょう。
損傷を受けると、理性的な判断ができなくなる例もある。
人間の脳が一番大きくなるのは生まれてから
歩き出すまでの間だから、この時期に
感覚教育を行うのが前頭連合野を刺激するには一番効果的です。
【記者:どのようにすればいいのでしょうか?】
例えば、オムツを替える時は必ず声を掛ける。
そうすることで、赤ちゃんは
お母さんの表情と声を認識していきます。
また「これとこれ、どっちが好き?」と聞いて選ばせる。
決断することで脳を使っているわけです。
まあ、そういう感覚教育を我が子にしたところ、
七か月で歩き出し、一歳で三千語を話し、
三歳でひらがなを読めるようになったわけです。
で、上の子は大学へ行かずに独学で一級建築士になって、
下の子は東大へ行きたいっていうから入れてやった。
そういう話が近所のお母ちゃんたちの間で話題になって、
「うちの子も見てください」と頼まれるようになりました。
そうしてよその子供たちの感覚教育にも携わるようになって、
自分の育児理論の裏づけを取っていったわけです。
やっぱり実験データは多いほうがいいですから。
★☆ 久保田カヨ子式 いい子を育てる法則 ☆★
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● オムツを替える時は視線を合わせ声を掛ける
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話すことはできないが親の表情を見て、声を聴いている
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● 「いないいないばぁ」は一日に五回以上やる
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視線を集中させる
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● カラフルな子供服を着せる
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色彩感覚を身につける
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● なるべくおんぶする
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親と同じ目線(世界)を体験させる
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● 幼児語を使わない
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幼児語から正しい言葉を覚え直すのは二度手間
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● 箸や鉛筆などはいきなり持たせず、
正しく使っている姿を何度も見せる
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親のマネをさせることが
脳のミラーニューロンを刺激する。
見せる時は子供の背後から。
向き合うと左右逆になる。
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● どっちが好き? と質問する
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脳を使って「決断」させる訓練をする
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● お風呂の時など、十から数を減らし
ゼロまでカウントダウンする
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ゼロという数学的な観念を知る
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● 親が「ストップ」と言ったら行動を止める訓練をする
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「NO GO行動」という。
これを覚えることにより危険回避行動を養う
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● ガラガラはゆっくり動かして使う
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幼児は早い動きは認識できない。
遠くからガラガラを近づけて、
視線の焦点が合ったところで
ゆっくりと動かす
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● 生後1~2か月のうちにストロー飲みを覚えさせる
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吸う力を養う。口、舌を鍛え、
呼吸や発声を養う
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● できるだけ多くの臭いを嗅がせる
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いい臭いもイヤな臭いも
感情(脳)に作用する
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● 紙をたくさん破らせる
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(新聞紙など、できるだけ細く)
手先の器用さと物質の構造を
理解する能力(紙が破りやすい方向など)を養う
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● タオルやハンカチを三つ折りにたたませる
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四つ折りだと角を合わせるだけ。
三つ折りは目安が必要なので、
物をよく見て計算する能力が養われる