まほろばblog

Archive for the ‘自然農園’ Category

白菜と「無用の用」

月曜日, 11月 30th, 2020

 

20日、最後の味噌豆用マルチを剥がし、ハウス解体が完了。これで、大物事は終わり、こもごもした後片付けを残すのみ。

あとの大物は、白菜の収穫。

毎日、葉の締まり具合を、畑を一巡して回って次々と堅いのから先に、刈り取る。ほぼ固定種「松島新2号白菜」の正品は穫り入れ、今は「松島6号」。これが、デカい!!

写真の左が新2号の大き目、右が6号の大き目。子供と大人くらいの差。1玉10㎏あるかな。その日、25コンテナを雨の中の泥濘に足を取られながら必死に収穫。随分疲れるが、右脚の怪我も徐々に回復し筋力も付き、こんな重労働もこなせるようになった。ありがたい。これも、実に多くのボランティアさんに助けられて、本当にここまで来ることが出来ました。改めて、感謝申し上げます。

今朝は、昨日からの雪で、一面、白一色。

昼の雪解けで、一斉に総穫りが出来るかどうか、勝負の日である。堅い巻きだけで、更に25コンテナ、500㎏。後は雪の中で成長するのを待って、根雪になるまで収穫。残りは来春、「白菜菜花」として、相当数出せるだろう。

 

今年は、コロナ騒動一年で、年末の今、また3次襲来か、感染化急増が収まらない。家内の白菜スープで始まって、白菜ブームで終わるか。最後が白菜の締めと言うのも、喜べない。

 

この栄養価の最も少ない白菜が、最も病に効くというのも暗示的でさえある。

つまり、老子の言う「無用の用」だ。用を為さないようだけど、最も用を為す、というもの。車輪にしろ、茶碗にしろ、部屋にしろ、その空間が用を為している。

 

昔、一時「窓際族」という用(よう)無(む)(!)員(いん)のような定年真近な人が、実は社内で円滑化の大事な用を為している、と聞いたことがある。みんなの心の中で、その存在があることでホッとする、息抜きできる、というお役目があるというもの。「虚」の効用と言うべきか。

 

今年、亡くなられた李登輝台湾元総統は、「我是不是我的我」(私は私でない私)という座右の銘を遺されている。

数学者の岡潔先生は、「為さざる在るの人」と良く説かれておられた。

何も為さないで、存在する生き方をせよ、と。「為しても無欲なれば、人、之を為す」私心の無い行為が、最も人に影響を与える、というものだろうか。

「発酵仮面」「味覚人飛行物体」なる小泉先生は、「濃処の味わいは常に短く、淡中の趣は独り眞なり」と、味の極みを言及しておられるが、味わい深い。淡白な味付けが、料理の究極である、と申しているんですね。

 

白菜の淡味こそ、妙なのでしょう。

植え付けや草取り、追肥や管理に、多くの援農の方々の手を煩わせました。その為か、良く肥大してくれています。

漸く「切干大根」も出来上がり、それに気を良くして、「白

菜塩」を作るかもしれません。出来てからのお楽しみ。またまた、蘊蓄を長々と述べたいと思います(笑)。

ありがとうございました。

青は藍より出でて藍より青し

土曜日, 11月 28th, 2020

11月25日に、八雲町で新規就農している「八雲山水自然農園」の大林君(まほろば自然農園の元研修生)が、有機肥料を取りに来ました。(研修生には、原価で分けて上げています)

仁木JAに製造加工を依頼していたトマトジュースを取りに来たついでもあります。

それは、とっても美味しく、深い味わい。

今年7年目になる営農自立は、すこぶる順調そうで、何よりです。

https://www.facebook.com/8clouds3waters/

何時だったかTVニュースで、道南でワイナリー研修会の様子が映し出されていたが、真っ先に熱心に受講されている大林君が目立っていたので、次にはワインを手掛けるつもりらしい。

今年は、古代小麦「スペルト」系を初めて撒いて、自給用に栽培を続けたいという。

 

夫婦二人で、仲良く力を合わせて、広い畑を切り盛りしている。

その様子を、写真で見せてもらったが、それは見事な畑で、感心すること頻りなのだ。

有機認証を取得して、漢方の当帰や、まほろばにも卸している軟白葱を栽培し、様々な挑戦、新しい取り組みにも意欲的で、着々と歩固めしている。

 

彼からは、新しい播種の仕方、シートで雑草を抑える方法やニンジンの除草法で画期的な道具を考案して大成功を収めた話など、自分たちにとっても役に立つ興味の尽きないことを聞いて頼もしく思うばかりだ。

正に「青は藍より出でて藍より青し」

 

「有機農業には、まだまだ可能性がある」という彼の一言は、成長一直線途上で、我々の励みにもなって来る。

沖縄の知人に頼まれて援農に明日立つという。

奥さんの生まれ故郷台湾も近く、冬また暖かく、体の保養にもなろう。

また彼の地で学んで、帰って来て教えてもらいたいと、楽しみは続く。

「切り干し大根」に生まれ変わり

金曜日, 11月 13th, 2020

思い余って、大橋社長が、石狩に切り干し大根の工場を探してくれた。

そこでは、空洞大根でもカットしないままのそのままの方が、加工しやすいとのコメント。

これは、実にありがたい!!

 

スタッフの高田さんと、空洞をスッパスッパとカットする度に、

その周りを、惜しげもなく畑に捨てるのを忍びなく思って捨てる。

「勿体ないなー」

昔気質(かたぎ)の81歳だから尚更である。

その切り残しを齧(かじ)っては、

「こんなに旨いのにナー」

と嘆く。同じ気持ちなのだ。

しかし、前を見ると途方もない大根の海に、捨てて捨てて進まねば進まないのだ。

 

そんな中、今日、切り干し大根の見本が届いた。

早速口にして、その甘いことあまいこと。

ビックリ!

まるで、砂糖菓子を食べているよう!!

ホロリと口の中で解(ほど)け、ホロホロと舌の上で溶ける。

 

 

咄嗟に、利休翁の閃(ひらめ)きを覚えた。

翁なら、これをお手前のお干菓子(ひがし)に使うだろうな。

和菓子の見立てとして、充分使える滋味あり、景色あり、喉越し後の余韻あり。

武将なら、「これは、でかした!」。好事家(こうずか)なら、「これは、お見事!」。左党でさえ、「これは、絶品!」

と翁の無作の作に唸(うな)っただろう。

匠の極み、贅の極みより、名も無き一農夫の大根干しの素朴を、翁ならより好むだろう。

大名物の支那の天目茶碗より、朝鮮の飯(めし)茶碗や変哲なき黒楽茶碗を好んだように。

 

確かに、これを口にしての一服は、何と言ってか、何とも味わい深い。

今までにない茶との取り合わせに、新境地が開けた思いだ。

そんな茶聖の斬新な発想と思い切りの良さが次代を切り拓く切っ掛けだったのだろう。

ミサの儀式を濃茶に映した大胆さの素材は、何時の世、何処の場でもそこいらに転がっているのだから。

 

この土曜日に、援農の方々と店のスタッフと一気呵成に畑の大根を総攫(そうざら)える。

今年もまたもや、抜かぬまま畑に捨て置くのか、と半ば落胆していたから、

本当に物のイノチを、根こそぎ救えて、これほど嬉しいことはない。

切り干し大根に生まれ変わって、皆さんのイノチの芯を支えて欲しい。

そんな折、郷土史家の大橋しのぶさんから大根のことで、

お電話がかかって来て、メールを戴いた。

 

 

 

「今日は母娘共にお電話にてお話しできて嬉しかったです。

仁木農場から届いた大根と鶏肉と人参で煮物を作ってみました。

大根おろしもつくりました。

どちらもとても甘く瑞々しく美味しかったです!

宮下ご夫妻のご努力の賜物ですね。

切り干し大根も楽しみにしています♪

大橋しのぶ

※写真は近所の遊行寺と大根料理です。」

 

 

遠い神奈川でもかように喜んで頂き、穴大根も果報者です。

あれほど落胆したことが、何であったか。

落ち込みが深いほど、皆さんに助けられ、天に拾われた思いで感謝するばかり。

ありがとうございました。

 

今朝は、昨日降り積もった雪が、朝日に照らされて溶け、畑がキラキラ光っていた。

時間に余裕がなかった最後に、我が家の大根を抜き、洗い、干すこと50本ばかり。

峻烈で勢い有る井戸水で洗う。

ひげの無い、息を飲むほど真っ白な肌えが現れ、京美人を彷彿とさせた。

「なるほど!大原の京野菜、『鞍馬(くらま)』か」

 

大の漬物好きの私は、食卓に出れば出るだけ、あればあるだけバリバリと食べ尽くしてしまう。

それは昔、菓子など充分無かった頃、お客様のお茶請けに、氷に浸かった丼一杯の漬物を出す年代に育ったからだろう。

兎に角、眼がない。

だが、塩分過多が心配だ、すぐ怒りっぽくなるから(笑)。

無施肥の畑の中ごろが、比較的干し大根用に大きさが揃い、しかも案外空洞がないのには、驚いた。

こんなのを皆様にご提供したかったが。

来年、また頑張ろうかなとも、思った。

 

 

今年は、大根騒動の学びの後先(あとさき)でした。

ありえへん「じゃが芋」

金曜日, 10月 30th, 2020

大根に続くじゃが芋ですね。

何か、言い訳が続きます。

でも、なぜか何事にも意味があることをいつも知らされます。

 

あの穴大根、切干大根に化けそうなんですよ。

カット大根にならなければ、こんな切羽詰まった発想は起こらなかった。

探し探して、何と石狩に工場見つけたんです。

そうそう、昨日食べた高いさんま(笑)…≪今凄く高いんですヨ≫

大根おろしにして食べた。

我ながら、生まれて初めてこれぞ!という大根おろしに遇えた!!

ふろふき大根なんか最高でしょうね。

あれが、懐石料理を支えて来た京野菜の伝統の味わいなんでしょう。

 

あぁ!ここは大根でなくて、じゃが芋のはなし。

まほろばのじゃが芋売り場。

仁木農園のじゃが芋が入荷。

でも、中々みなさん手を出さない。

隣のきれいな有機のじゃが芋が売れる。

 

何故だろう。

やっぱし、見た目が第一良くない。

いかにも、汚いし見てくれが悪い。

 

実は、このじゃが芋大変な思いで作っています。

見た目は、同じじゃが芋ですが、「いのちの記憶」って上手い事、

POPに書かれていますが、

毎年、自家採種の更新芋なんです。

(隣で、どんなじゃが芋だって、「いのちの記憶(遺伝子)」は、持っているのに……と妻が言いました。)

 

しかし、見ての通り、見てくれが悪い、肌が汚い、凸凹が多い、穴が開く、大小が混ざる。

まるで良いことなしです。

そして、裏作業の中身は、ほとんど廃棄やCの外品、S、SSの小芋ばかリ。

(昨年は逆で、植物の最終物質フミン酸のせいか巨大芋が続々、見事でした)

その中から、正品を選ぶので、その作業が大変で、時間が取られます。

家庭菜園だってもっと上手に作れるのに、情けない限りです。

 

それから、今問題になっている種子法。

それには、全く抵触しないんですよ、更新してもOK。

ほとんどの芋が大丈夫で、特許もすでに外れている。(農水省確認済み)

 

それで、決めては種芋。

みな種芋を買うんです。

昔みたいに、自分の芋を使うと、収量は減る、見た目がダメになるからです。

そのために種芋団地という種芋だけを栽培する隔離地区があります。

ここでは、栗山なんかです。

ただ、殺虫剤・殺菌剤などの徹底した処理が凄い。

他者を介して入らないように、圃場の出入禁止なんです。(コロナのロックダウン封鎖のようです)

アブラムシを介したシストセンチュウやウイルス感染させないためです。

芋は、すぐバイラス、つまり今流行りのウイルスに侵されてしまい易い。

それで、肌は汚くなる。

形は悪くなる、小さくなる。

量は穫れない、少なくなる。

手間はかかる、お金は取れない。

良い事なしなんです。

まあ、お先真っ暗と言ったところですか。

これを、何十年とやって来たんで、だから、バカみたいなんです。

しかし、今年は特に悪い。

 

よく私と家内が衝突する原因はこれで、

見るに見かねて私が、

「いい加減に、種芋を買おうよ」

「いや、絶対ダメ!!」

この繰り返しで、30年近く来たんですから、ある意味大したものです、家内の根性は。

もう信念ですね。イノチへの信念。

 

いつかキット良くなる。

それは、土や管理で戻せると、言った思いなんですね。

今年は、一番土壌の条件が悪い所に植えてしまったからだ、と、確かに最後、そこしかなかった。

「困難な場所で生き延びれば延びるほど、見た目の外見とは、逆に生命力は強くなるんだ」と。

 

そんな意志力でまほろばや農園を引っ張って来たんだと思います。

考えられないことが、現実になる。

ある意味、凄いことです。

しかし、なんだかなー。

 

でも、きっと何時か、何かに化けますよ。

 

【まほろば自然農園 芋掘りの動画】

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穴大根物語

水曜日, 10月 28th, 2020

1、今年の対策

今年の漬物大根です。

大失敗でした。

空洞化です。

 

去年もそれで失敗して懲(こ)りたものですから、原因を解明し避けるために、次の対策をしました。

 

  • 種を代える。「耐病総太り」から「くらま」に。また、同時に両方撒いてみました。
  • 撒く時期をずらしてみました。ずらすことで、成長期の違いで結果が異なるか。
  • 土地を分散しました、5か所です。土地の条件により、穴が開くかどうかです。
  • 肥料の有無。堆肥ヌカを投与する所と全く無肥料で生育を観る。
  • 播種後、散水する所としないところ。高温障害を避け発芽を早めるためです。

このように、ほぼ条件の違う所で、結果を見てみました。

結果は、みな一様に空洞化がありました。酷(ひど)い所とそうでないところがありますが。

これは、病害や虫害など生物的要素でない、温度、光、土壌の化学性、物理性などさまざまな環境要因によって、正常な生長・発育が行なわれない生理障害である訳です。

 

、その原因

そこで、考えられるのは、今夏の異常気象、高温です。

空洞化の主な原因が、この高温障害と通説化されているからです。

今夏は、熱中症で家内がやられるくらいですから、野菜にとって相当のストレスとダメージがあったと思います。

しかも、導入した「くらま」が生育中期後期に高温に弱く、生理障害、病害虫に弱くなるらしいのですが。

しかし、うまく行っている所もあるはずです。

 

ただ、仁木余市は果樹農家、施設園芸農家が大多数です。

気候と言えば、毎日バイトの高田さんが札幌を出る時、土砂降りの雨なのに、余市に入ると不思議と止んでいる、と何時も言われていました。

おそらく小樽以東と以西では隣同士でも全く違うのでしょう。

雨が少なく、高温傾向にあるのがこの周辺、果樹栽培が自然と盛んになった自然条件なのだと思われます。

 

基本的に、蔬菜より果樹が最適なのでしょう。

ですから北海道の名産地として昔か

ら、引き継がれて来たのだと思います。

それと粗収入が、野菜と果物では、反当りの差が当然つく訳です。

仁木で野菜を作っているのは、勿体ないでしょう、とよく言われます。

 

3、原因さらに

話を戻します。原因はそれだけでしょうか。

最近、ハウスを建てました。

その時、暗渠を掘るため1mほど掘削しました。

それを見て、いかに重粘土層かを思い知らされたのです。

それと、相当の石が畑に紛れ込んで、いくら毎年石を除いても耕すごとに、土中から石が飛び出します。

それでは大根が変形してしまいます。

大根に輪っ子の線が、下からほぼ中間層まで続いています。

そのような大根は、間違いなく空洞化しています。

「大根十耕」と言われるように、それを防ぐ為には、

相当深くロータリーをかけて深堀せねばなりませんが、

それをすると下層から石がまた上に浮き出てきます。

ロータリーの爪がすぐ摩耗して、すぐ取り替えないといけなくなります。

 

その証拠に、大根の首が相当上に出ていて、下から押されているようにも見えます。

刺さって行かない、降りていけない訳です。

輪っ子一筋一筋が、大根の悲鳴なんです。

大根の肌は普通、スーとしてきれいなものですが、この筋入りが致命的です。

土寄せ培土が十分すべき時間が押しやられたのも一原因です。

そして、粘土層で水はけが悪いと、どうしても水分が溜まりやすく、高温で膨張して細胞破壊が起こり、溜水現象で空洞化が起こるのかな、とも推測します。

 

4、根物は不向き!?

結論から言うと、この地域には、根物は不向きであるという学びです。

ゴボウは伸びずに塊になり、山芋は掘るのに一苦労どころか三苦労ぐらいします。

適地適作と言いますが、少し無理かな、との思いに至りました。

ぶどう、リンゴ、サクランボなどの樹木は、堅くて丈夫なので、土の間隙を縫って根を張りますが、軟弱な根菜はそうはいきません。

以上の、考えを総合して、今後の方針が立てられそうになりました。

 

穫るたびに、ガッカリしながら、収穫しているのですが。

日々、だんだん大根が太り出すと一昨年の「太大根物語」が蘇ってきました。

http://www.mahoroba-jp.net/about_mahoroba/tayori/topix/topix2018/topix2018_12/2_daikon_story.pdf

 

 

あの根太い大根。

大人気で、未だに「あの大根は旨かった、もう一度食べたい!」との語り草になっています。

今年は「穴大根物語」。

笑えません。何万本ですから。

絶望の中で、少しは希望もないでしょうか。

 

5、「くらま大根」は、京野菜!!

そして最後、食べてみて、びっくり!!

「こんな大根、今まで食べたことがない!!」と言うほど、旨かったんです。

恐らく、この地で誰もが食べている大根は「耐病総太り青首」系に限られていますね。

由来

「くらま」は、今ではほとんど作られなくなった京都左京区の京野菜の地大根「鞍馬大根」で、富士山麓の朝霧高原で復活させた古い在来種でもあるんです。

大根の中でも一二を争うほど品質が良く、トロリとした舌触りは絶品。

繊維質が少なく、葉っぱには毛がなくツルツル、非常に女性的な肉質。そして、萎黄病(イオウビョウ)などの病気に強い男性的な性格も持ち合わせ。

作りにくい(確かに難しかった)が、これほど品質極上な大根もないという事です。

 作り方

今更ながらですが、反省。

【太りがとても早いのであわてて蒔く必要はない】ということで、道理で太大根が多い。早蒔きは割れやすいという事です。今までのお盆過ぎより、チョット遅らせては。

【肥料は少なめ。他品種の1/2~1/3の元肥で十分。肥料が多いと割れやすい】確かに、無肥料の畑は、正品率が高かった。でも、17年物もの耕作放棄地だったので、長年堆積した雑草で窒素過多になり易いので、空洞化になったのでは。成程、そうなるのか、合点!

後半適期に0-1テストして、ミネラルをやれば、バランスとれたかも。でも全然時間の余裕がなかった。

【雨の日や、朝や、水分の多いときに乱暴に収穫すると割れやすい】確かに「パリン!!」と弾けるように、元気に割れるんです。漬物大根時期は、特に長雨が続くから扱いに気を付けねば。

 

6、意外にも、好評

確かに、甘くて、蕩(とろ)けるような旨味は、格別で言い様がないです。

「これは、やった!!」とばかり、少し気を取り直しましたが。

折れた心を、何とか立て直そうとしています。

 

 

聞く所、店では大好評で、「柿や梨のような味わいで絶品!」

との専らの評判で飛ぶように売れているらしい。

日報に、こんな報告がありました。

「配達発送の電話注文で『まほろば大根は、やっぱり美味しいね』と、再度ご注文頂くことがあり、とても嬉しく思います。我が家でも、例年通り、サラダ、煮物、切干大根と美味しく戴きます。ありがとうございます」(永畑・記)と。

 

これを聞いて、こちらがビックリ!!

何とも、《尻尾をカットして見栄えがしないから敬遠されるだろうな》、《苦情や廃棄が多いだろうな》、《バックヤードでスタッフも苦労しているだろうな》と思っていた矢先。

却って、今は一本の大根では多過ぎるらしい。

手頃で丁度、とてもイイらしい。特に独身者には。

物事は、どっちに転ぶか、解らないものですね。

 

7、店から助っ人

これから、三面あるこの海原のような大根畑をどう処理するか。

悩みながら、次の手を考えている所に、今朝、店から福田副店長はじめ4名の助っ人。(一面一町歩を収穫しないで放置のまま捨てようか)と思っていたので、元気をもらいました。ありがたかった!

遅く撒いたところは、わずかながら正品率もあり、漬物大根として出せそうです。

少しは胸を撫で下ろしました。

 

 

8、店頭では

今、このように販売してます。

① 下の先をカットして空洞を調べるので、「カット大根」として出します。

② 葉付きは大丈夫な正品なのですが、下先を少しカットしていますのでご了承ください。

③ もし、それでも空洞化があったら、お申し出ください。ご面倒でも、ご希望に沿って、代替品を出すか、返金させて戴きます。

 

 

以上、大変ご迷惑をお掛けし、申し訳なく思いますが、お付き合いいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

来年、再挑戦するかどうか、悩むところですが、お客様のお声に添いたいと存じます。

 

 

土の力

火曜日, 10月 27th, 2020

また、突然に、「発酵仮面」はやって来られた。

発酵学博士の小泉武夫先生です。

 

 

東京にまで持ち帰って食べられたあのトマトが余りにも美味しかったので、また来てみた、とおっしゃられる。

興奮気味に、

「本当に美味しかった。ミネラルの力。スゴイ!!」と。

そこで、出荷してない援農の方のために一列だけ作った中玉トマトのハウスにご案内した。

「どうぞ、赤いのすべて取ってください」

 

「ウふぉー、恍惚、恍惚……!!」

と、子供のようにはしゃぎ、嬉しさを隠しきれずに無我夢中に、トマトをお取りになる姿を垣間見て、

無邪気な無心が先生の原動力なんだなー、と逆に感銘して、こちらが嬉しくなった。

 

「今日は、収穫祭だね。

これは土の力。醤油粕などの、有機ミネラルの働きで、これほど力のある美味しいものが出来る。

カルシウムやマグネシウムなど、投与しても吸収されないんだ。

そこには有機酸が必要で有機ミネラルでなければ吸収できない。

微生物により、有機物が有機酸に変化し、初めて無機のミネラルが結合して有機ミネラルになり、植物がこれで初めて吸収出来るんだ。

あの水俣病も、単なる水銀だけだったら飲んでも体外に排出されるが、

それが有機物と結合されて吸収されたから、あのような事故になった。

醤油粕のように、大豆や麦のタンパク質が、塩のミネラルと結合して、人間に吸収され易くなる。

それを肥料に使っているから美味しくなるんだヨ。」

(なるほど、合点!!)

 

丁度、採り立ての白菜、大根などもあって、お持ちいただきました。

先生の満面の笑顔を見て、こちらも幸せになりました。

 

ところが、夜になって、先生から電話がかかってきました。

「白菜をゆがいて、ポン酢で食べたら、その旨いこと、うまいこと……。

仁木には、季節にサクランボやブドウやリンゴ狩りに、観光バスで沢山来られる。どこでもやっている。

まほろば農園にも、みんなで美味しい野菜を食べに来られるように、報せなきゃならないヨ。

いやーこれは、これまで全国のものを食べて来て、日本一美味しい野菜だよ、ほんとに…。

土の力、味が凄い。これを報せなきゃ」

と、本当に我がことのように、農園や私たちのことを思って下さる先生の熱き想いとお心に、

家内と共に感激して、ありがたくその意を頂戴しました。

長年の努力が、こう評価して頂き、報われたように思いました。

みなさまが、お気軽に来られますよう工夫し、これを糧に、また野菜作りに頑張ろうと思いました。

ありがとうございました。

冬も農作業します!!

月曜日, 10月 19th, 2020

冬季用ハウスを建てました!

骨組みが太いパイプでの組み立てで、今度は農家のプロに依頼しました。

50mの二重被覆ハウスです。

 

「その歳で、更に冬まで働くの?」って思われますが、

3か月休んだだけで、3月4月の立ち上がりが、かえって老体にはキツイんです。

それで、体が鈍(なま)らない程度に動くのに、菜っ葉なんか育てながら、と思った次第です。

暖房を使わなければいけない1月2月は休みます。

 

先日、援農隊の力を借りて、三つ葉、レタスの移植をやってもらいました。

瞬く間に、イノチが吹き込まれた感じです。

でも、植え付けが遅れたため、年末に間に合うかどうか心配です。

下手するとズレてお正月返上になったらどうしよう(笑)

 

ここでは、育苗も2,3月からすぐに取り組めます。

毎年2月、雪かきしてビニールをかけ、育苗資材を設置するのに大変な思いをします。

でも、ハウスが建っているともなれば、スタートが早められ、気が楽で、大助かりです。

本音は、ゆっくり休んで、旅でもして、イノチの洗濯をしたいな、と言う所ですが……。

このまま、あの世まで、働き詰めで逝くしかないですね(笑)。

 

 

 

「今の一日は、後に一週間の違いになる」と、言われています。

今日遅まきながら、ホーレン草と小松菜を撒きました。

無農薬リンゴは、簡単!?

土曜日, 10月 17th, 2020

  疾風(はやて)のように現れて、疾風のように去って行く「月光仮面」。

「発酵仮面」も何処からともなくやって来て、何時の間にか帰ってしまう(笑)。

小泉武夫先生が、例の如く突然やって来られました。

中玉トマトの摂り放題を、子供のようにはしゃいで取られ、

「夢のよう…、美味しい、美味しい」

と、ご満悦のご様子でした。

「無農薬でリンゴ出来たんですよ」と言うと、「どれ、どれ」と御覧になられ、

最後は、はいパチリで写真に納まりました。

2年目の今年も、無農薬で出来ました。ほとんど手を掛けないで出来ちゃうので、世間が騒ぐように、無農薬栽培は絶対不可能とか、「どうして言うのかしらん」と思うのです。春に0-1テストで施肥するだけで、全く何も手を掛けませんでした。(昨年書いた『りんごのゆめぢ』をご覧ください。内容を詳しく書いていますhttp://www.mahoroba-jp.net/…/top…/1_nouennikki201911.pdf

 

一般には、日持ちや着色、芯喰い虫対策用に袋掛けするのですが、広いリンゴ園では何十万個もかけるなんて気の遠くな

る重労働です。それに、今の袋は雨が浸透しないワックス仕様の殺虫殺菌剤(キャプタンやTPNダコニール等)を染み込ませている袋なので防除にもなるようです。昔国道36号線の月寒沿いに見られた新聞紙の袋掛けの光景が懐かしく思われますが、さすが今、新聞紙袋は見かけません、安全ですが。

 

ここでは「ロケット弾」と呼んでいますが、隣近所の果物農家が使っているSS(ステレオスプレーヤ/果樹園に農薬を散布し、消毒する機械)を使うと、いかにも農薬掛けています、と見られます。散布機を肩にかけて、何町歩も回るのもこれも重労働で大変なことです。ひと昔の化学殺菌剤などない時代、みな肩に手押しポンプを背負って、食酢で除菌したりしていましたが、今はどうなんでしょう。有機JAS法では、残念ですが、酢・木酢、重曹などの安全な資材でも「特定農薬」とレッテルを付けてしまいます。

 

それとまた、JASが認めているものに、殺虫剤トモノールSなどのマシン油乳剤、鉱物油がありますね。これは故福岡正信翁の『わら一本の革命』かに書かれていましたが、さすが翁のミカン栽培にもカイガラムシ対策に、これだけは使われていたみたいです。でも、入荷するミカンは虫痕だらけですが。日本では、自然・有機農法家でも、許される農薬が他にもあるんですね。

 

果樹農家ともなれば、蔬菜農家とは別な悩みが増えます。まほろばでは、出来る範囲で、果樹を少しずつ手掛けて行きたいな、と思っていますが、農薬だけは……。今まで農薬の使い方も、手に取ったこともないんです。

 

初めて薬師寺に入門した50年前、高田好胤管長さんが、旧ソ連での講演旅行を終えられ、自坊で初めて接見した時、ソ連のお土産で小っちゃなリンゴを下さったんですね。それが妙に今でも思い出され、日本の富士などに比べ、余りにも貧弱なのに驚いたものでした。

今思えば、それは原種か何かの無農薬物だったんでしょうね。仁木農園のも、明治時代にアメリカ・ミズリー州マッカムから来たので「マッカム」と言う名前が付いた原種ですが、それで病気に強いのかもしれない。でも、軸が短いので落下しやすい、枝傷や枝跡(茶色のがそれです)が残りやすいので、みな手放して今作る人は居ません。

これは自画自賛ですが、「こんなに、リンゴって美味しいものか」と、今年のマッカムの味、この70年間で一番おいしかったリンゴと思いました。ここの名前を「マッカム・ファーム」にしたいぐらいです(笑)。数が僅かで、店頭で飾っているだけで、申し訳ありません。今年、台木に5本「穂接ぎ」しましたので、お待ちください。

 

 今、まほろばで販売している「オーガニック・ストレート・ジュース」のクラウディ(無濾過)アップルジュース、ビックリするほどおいしくて、しかも安い(1L/780円(税別))。濃縮還元でない生汁の有機で、どうしてあれでやれるのかしらん、と思います。むそう商事さんにトルコの農園写真送ってもらいましたが、いかにも健康そうで、きっと品種改良で人の手を掛けていないのでしょうね。掛け過ぎると、虫も菌も群がって来るのでしょう。キット過ぎた甘さや肥大が、「異常!」との警告を告げているのかもしれません。湿気などの日本の気候風土の外的要因もあるのでしょうが、原種の持つパワーや自然性が、虫たちも納得しているのかもしれません。

 

何もかも、一度元に帰し、リセットし直せねばならない時代なのでしょうね。

 「農業セラピー/Agriculture Therapy」

金曜日, 10月 9th, 2020


9月30日(水)コロナ明けが少しづつ始まったのか、援農の方々が増え、

15人もの方が来園されました。

三密も何のその、マスクも畑では外して、

広い空の大気をオモッキリ吸って、実に楽しそう。

何か、心から嬉しそうで、どうしてかナ?と思っていました。

 

二回目援農の吉村さんが引率して来られた6名。

中には、天塩や旭川から、ワザワザ駆けつけていらしたとか。

みなさん、吉村さんの愛すべき生徒さんたち!

ウン?

 

知らなかった。

吉村洸美さんは、20年もの間続けていらっしゃる

「吉村カウンセリング研究所」の所長さんでした。http://www.yoshimura-c.net/

「エドガーケーシー療法」や「インナーチャイルドワーク」

その他の療法を取り入れて、多くの心悩める方々をケアされて来ました。

学ばれたみなさま、その喜びに満たされて、

更にこの大地に足を踏み入れてエネルギーを一杯吸い込んで、

お帰りになられました。

「農業セラピー」があってイイな、と思いました。

母なる大地こそ、心身を浄化する最高・最大のメソッドではないでしょうか。

何をしなくても、そのままで畑が癒してくれる。直してくれる。

そんなセラピー、ヒーリングが叶える農場であってもいいですね。

夢が増えました。

当日は、「へうげ味噌」「新醤」の材料、豆たちを収穫してくれました。

 

花豆、金時、銀手亡、パンダ、桜などなど。

何とコンテナに23籠も。大助かりです。

こちらも、感謝で一杯いっぱい!

また「農業セラピー」にどうぞ。

コロナと医療チームと援農

金曜日, 5月 29th, 2020

 

医療従事者に『ありがとう!!!』のエールを・・・・・・。

連日、このキャンペーンが、TVで放映されています。

自粛解除の宣言が為されたばかり、しかし完全終息まで先が見えません。

第二波、第三波の予測もあります。

医療崩壊が叫ばれる中、病院の中は戦闘状態で、どんなにか緊張を強いられ、

疲労も極限にまで達しながら、なおも従事しなければならない、

終わりなき治療に携わる方々には、

ただただ敬服と感謝の念を抱かざるを得ません。

 

 

 

皆様のため、私たちのために、本当にありがとうございます。

そしてお疲れ様です。心より労い申し上げます。

 

 

 

そんな中、まほろば自然農園も、一日の休みなく営農の毎日です。

20日(水)に、集まって頂いた方々が、不思議に医療スタッフのみの皆さんでした。

看護師だった鈴木恵子さん、鹿野和美さん、畔川美千子さんの三人。

そして、理学療法士の阿部哲也さん。

(只今、コロナ対策で、4人限定のみで援農を募集しています、あしからず)

 

一日にして、ゴボウの種蒔き、トウキビ苗の移植、南瓜の定植、平豆の定植、

キャベツ菜花・MIX菜花の収穫、イチゴの除草、ランナー処理。

これを一日にして、やってくださいました。

 

これには、心底驚きました。

100mもある苗床を、初めての農作業にも拘らず、穴あけ作業など、

一言のアドバイスで、すべてやり熟(こな)す勘の良さの阿部さん。

 

 

 

お一人で、コツコツと定植する、その手際の良さ、

と丁寧な仕上がりが見事な鈴木さん。

訪問看護の所長さんを長年勤め上げられました。

 

 

 

10㎝間隔の2列、100mもの距離を二人で、

午前中にごぼうのタネを撒き終わった鹿野さんと畔川さん。

(今回は、真空播種の機械撒きでなく、確実に手撒きで試みました)

 

 

皆さん素人に関わらず、ソツのない仕事ぶりや、集中力、完成度の高さには、

文句のつけようがないほどの玄人とも言えます。

 

最初、それは何処から来るのだろうと、不思議でした。

そこで気が付いたのは、この新型コロナウイルス対策で、

注目され、絶賛される医療従事者の不眠不休の働きぶり。

これは誰彼という事ではなく、誰しも病院内で患者さんに向き合う姿勢です。

つまり、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされている彼らの必死に生き抜く姿。

その一途さがなければ、救援の現場に立った者でなければ、

見えてこない仕事への向き方を、むしろ私たちが畑で学んだのです。

 

 

 

その心構え、身構えが、我々と一線を画すのは、

イノチを預っているという厳しさでしょう。

人のイノチも、植物のイノチも同様であるハズ。

人を助けたいという気持ちも、植物を活かしたいという気持ちも同じ。

そういう意味では、いや本質的な意味で、プロなのです。

プロ農家の意識も、プロ医療家の意識もレベルも寸分も変わりない。

だから、すぐ出来る。

すぐ応用できる。

 

 

 

社会で、真剣に生きた人は、どの世界に行っても生き切れる。

この社会を構成する原理は、どこでも通用する。

そんな意味では、援農の皆様は、みなさんプロ跣(はだし)です。

いわば、素人集団でも、即日にして玄人集団となります。

 

正にまほろば自然農園は、多角的、総合的、プロ農家であることを誇りたい。