20日(日)、21日(月)両日にわたって行われた「全国発酵食品サミット」が、千葉県神崎町にて行われた。
寺田本家のある神埼(こうざき)町は、元より酒蔵が何十軒と並び、
野田醤油に代表せられるように消費地江戸を控えた発酵の県、醸造の街だった。
ところが、戦前戦後にわたり、往時の盛隆は蔭を潜め、廃業する蔵が後を絶たなかった。
それは、醸造業界の大企業化で、科学的手法が先鋭化して小さいな蔵元は存立出来なかった。
完全に疲弊化した醸造業界は、ほんの数年前までは未来に希望を持てるものではなかった。
それに、火をつけたのが、寺田本家の故寺田啓佐さんだった。
その「自然発酵」の思想と実践は、沈滞した発酵業界に新風を送り込んだ。
その成果が、今日の「全国サミット」を開くまでに、復興したのだ。
これは、日本の片隅の街で起こった奇跡の物語である。
当日、神崎文化センターで開かれたおまつりは、全国発酵食品会会長を務められる
小泉武夫農大名誉教授の基調講演を皮切りに始まった。
全国に点在する発酵の街のパネリストをお招きしてのパネルデスカッション。
そして、館内には所狭しと神埼や他府県の発酵ブースでごった返し、発酵ブームに沸いたのだ。
かくセクションでのセミナーやデスカッションも盛んで、私は同行した
エッセンチアの篠原さん、アグネスこと酵母狂(失礼)の山口ゆりさんとで、
植田家の「cobo」のセミナーを受講した。
そこで、自然発酵させるのに、みなエリクサー水を使っているとのこと。
これまで、いろいろな水で試したが、これほど活性化する水はなかったと語られ、
エリクサー水で発酵させたパンや粉酵母、浸漬した野菜、果物、海藻などのエキスを試飲試食。
その余りにも豊かで深い味わいにみな感嘆した。
このセミナー、まほろばでも開講する予定です。
翌日、近所の「鍋店/なべだな」と「寺田本家」の酒造元に見学会。
今沸いている諸味酒の生酒を大樽から掬いだして試飲。
その余りの旨さに、下戸の私は朝からグイグイ呑んでしまったほど、感動してしまった。
生れて初めて、酒の醍醐味というものを知った。
これでこそ、酒!というものだった。
これは、言葉を尽くしても伝わりません。
日本の発酵文化の粋を見た思いで、その奥底の凄さに畏れた
極めて貴重な発酵サミットであった。
さらなる日本文化に火が燎原のように広がらんことを・・・。